サラリーマンのちょっと一言
  
車の乗り換え 顛末記(その4) キャミの使用感 
 <掲載 2002. 8.28>
 
 ゴールデンウィークの長期休暇が始まるまで、残すところ後3日という土壇場になって、やっとキャミの納車とあいなった。既に用意しておいた旅の荷物をあたふたと積み込み、キャミの運転に慣れる間もなく、7泊8日の旅へと出発していった。初日は東京から鳥取県の米子まで、約700Kmの走行を予定し、不安一杯の旅立ちであった。
 
 その旅を皮切りに、嫌と言うほど高速道路は乗ったし、未舗装林道や廃道に近い道も走った。その上でのキャミの使用感は次のようなものである。
 

埼玉県名栗村 有間ダムにて
湖の向こうの峰には有間峠(仮称)が見えている
 
 
★ボディーカラー
 本当はまっ黄色が欲しかった。別にその色が好きと言う訳ではなく、視認性の点で黄色の車の事故が最も少ないと聞いたからだ。でも、黄色のキャミはないという。仕方なしにある色の中から視認性が最もよさそうなのを選んだら、ピンク色(正確にはライトローズメタリックとか言う)になった。それにしても外から見ると何とも言い難い色だ。街中でキャミやテリオスを時々見掛けるが、この色を選んだ者はまれである。でも、自分で運転している分には、ボディーカラーなど見えやしないのだ。車など単なる道具だから気にしない(と思ってもやっぱりちょっと恥ずかしい)。
 
★オプション
 年老いた両親が高い車高の車でも乗り降りがし易いようにと、サイドステップを付けた。自分が乗る時にはすねはぶつけるし、ジャッキは着け難いし、ゴミは溜まるし、今度運転席側だけでも外してやろうかと思っている。
 リミテッド・スリップ・デフ(L.S.D)。後輪の片側の車輪がぬかるみなどで空回りした時、もう片方にも駆動力を伝えるという仕組みだ。悪路からの脱出に乞うご期待(どれほどの物だかさっぱり分からないが)。
 憧れのCDラジカセを奮発。ジムニーではオーディオカセットも壊れて聞けなかった。それが今度はCDプレーヤーも付いているのだ。でも、音楽CDは1枚しか持ってないので、これからレンタルで借りてCD-Rにコピーしなくちゃ。
 
★運転席が広い
 ジムニーでは薄い底の靴を使っていた。500円で買った安物で、あまりにも底が薄過ぎて歩く用途には不向きな靴だった。砂利道などでは足の裏が痛くてほとんど使用不能な代物である。でも、車を運転する時の微妙なアクセルワークやクラッチワークには非常に都合がよかった。その靴は大抵車内に置いといて、乗り込むと履き替える。それが面倒であった。しかし、厚い底の靴を履くと、窮屈で運転できないのだ。シートを目一杯後ろに下げてもクラッチ等のペダルとの距離が短く、私の長い足(?)が災いしていた。
 それがキャミになって靴底が厚くてもよくなった。シートはやはりほぼ目一杯後ろに下げているが、それでどうにかゆったり自然な運転姿勢がとれる。靴の履き替えをしなくていいというのは、こんなにも便利なことであったか。(まあ、運転席が広いと言っても、所詮軽自動車レベルの話しではあるが・・・)
 
★やっぱりオートマは楽
 オートマである点も、厚靴底を可能にしている。これなら安全靴(つま先に鉄板が入っている頑丈な作業用の靴)でも大丈夫なくらいだ。一方、何だか車を運転しているという実感がない。まるでテレビゲームでもしているかのよう。間違って前の車に衝突しても、「ゲームオーバー」とフロントガラスに出てくればいいのだが。
 
★燃費は悪い
 ジムニーなら通勤に使ってリッター13Km走ったところが、キャミだと辛うじて11Kmである。加速もおとなしく、なるべく燃費がいい走りを心がけているのだが、やっぱりオートマではこの程度か。
 
★OVD―OFFは使える
 オートマのシフトノブの親指近くにちっちゃなスイッチが触る。取説を読むと「オーバードライブ オフ」スイッチだそうだ。それを押すと4速(オーバードライブ)から3速に切り替わる。そんなの乗るまで知らなかった。でも、使ってみるとなかなか利用価値がある。緩い下り坂で2速に落とすほどではないが、ちょっとエンジンブレーキを働かせたい場合や、高速への合流などしっかり加速したい時に、きっちりシフトダウンしてくれる。
 マニュアル車からオートマ車に乗り換えると、減速したい時のエンジンブレーキの利きが悪いのが不満である。そこで普通に赤信号で止まる時なども、ついこのOVD―OFFに指がいってしまう。3速である程度速度が落ちたら、今度はシフトノブで2速に入れる。そしてフットブレーキも併用し、停止寸前にはニュートラルに入れ、そして完全にフットブレーキで停止させる。停止したらハンドブレーキをかけ、OVD―OFFスイッチを戻し、フットブレーキペダルから足を外して楽な姿勢で待機する。発進はまずフットブレーキをしっかり踏み、ドライブに入れ(この時フットブレーキをしっかり踏んでないと、軽いショックがある)、滑らかに発進するようにゆっくりアクセルを踏み込んでいく。街中の信号で止まるたびにこんなことを繰り返していると、オートマ車でもマニュアル並にせわしないのであった。
 
★ニュートラル走行は本当にダメなの
 オートマの中途半端なエンジンブレーキなどより、どうせならニュートラルに入れて走ってやろうかとも思うときがある。しかし、ミッションに無理が掛かるからダメだとディーラーは言う。どうも腑に落ちない。でも、万が一、新車を壊してはもったいないので、今のところニュートラルに入れて惰性で走るのは控えている。
 アクセルかブレーキのどちらかを絶えず踏んでいるような運転はしたくない。それで、前方の信号が赤に変わりそうだと、早々とアクセルペダルから足を離してしまうことにしている。これまでのジムニーならニュートラルに入れ、アクセルもブレーキも踏むことなく暫く慣性で走り、適当なところからエンジンブレーキとフットブレーキで減速停止していた。ところがキャミの場合、これまでと同じタイミングでアクセルを離すと、いらないエンジンブレーキがかかり、停止線までなかなか走ってくれない。後続車がつかえるので再びアクセルを踏むという、お粗末な結果になる。オートマ車のこの無駄加減が、燃費を悪くしている原因の一つだ。キャミが老いぼれになったら、ニュートラルでどんどん走ってやる。
 

新潟県朝日村 三面(みおもて)貯水池 二子島森林公園キャンプ場にて
何とはじめてのオートキャンプに挑戦
料金5,000円取られて、深夜に花火で起こされて(散々)
 
★暫くするとギヤが抜けたように走る
 アクセルを離して中途半端なエンジンブレーキが掛かった状態を暫く続けていると、急にギヤが抜けたように走る現象がある。もう少しで停止線で、そろそろブレーキを踏もうという時に限ってこの現象が起きる。どうも運転者の意図とは反対のことをしてくれるミッションだ。一体全体どういうことか、今度ディーラーに聞いてみようと思う。
 
★ブレーキの消耗が気に掛かる
 ジムニーは14万キロ以上走ったが、その間にブレーキの交換をしなくて済んだ。減速はできるだけ長い距離でエンジンブレーキを利かせるようにしていたので、フットブレーキの使用度合いが少なかったからだ。
 それに比べると、オートマ車では否応なくフットブレーキを踏まされる。何しろドライブに入れたまま、あの重たい車をほとんどフットブレーキの制動力だけで止めるのだから、ブレーキシューやパッド、ディスクがどんどん減っていくような気がしてしょうがない。それが貧乏性の私には、どうも生理的に合わないのだ。特に停止寸前はエンジンが前に進もうとしているところを、それをブレーキで無理やり押さえ込んでいるのだ。ちなみに停止寸前にニュートラルに入れると、急にブレーキの効きが良くなったような錯覚を起こす。それで、2速まで落としてエンジンブレーキを使った時は、ついでに停止直前にニュートラルに入れてしまう。こんな運転をする者は他にいるだろうか。
 
★ハンドルの切れ角が凄い
 カタログ表記の「最小回転半径が4.7m」は伊達ではなかった。ここまで切れるのかというところまでハンドルが切れる。小回りは大得意なキャミであった。
 
★悪路走行は未知数
 オートマで悪路走行などできるかどうか心配であったが、20Km前後の低速で普通の未舗装林道を走るだけならほとんど不安はなかった。ただ、舗装路ではあんなに静かな走行をしていたのに、凹凸が多い路面ではガタンガタンとやたらにうるさい。よく分からないがサスペンションの構造に関係しているのだろうか。
 また、サスペンションがソフトなので、車体がやたらとふわふわした挙動を示す。それが乗り心地がいいというよりも、かえって落ち着かない。前のジムニーのように、路面のデコボコが直接尾底骨に伝わってくるような方が、車がきっちり路面をグリップしているようで、安心していられた。
 今のところ、本当の「悪路」と呼べる所は走っていないので、キャミの悪路走行の真価は不明である。下手にブレーキを踏むとタイヤをロックしたままずり落ちていきそうな砂利道の急坂を歩くよりもゆっくりと登ったり下ったり、車の底を擦りそうな大きな段差や岩を一つずつ丁寧に越えたり、崖の縁まで10cmというところでタイヤを止めたり、そんな場面を何度か繰り返してみなければ、判断できない。でも、アクセルを踏んでからタイヤにトルクが伝わっていくまでの、あのオートマの遅れや、トルクの微妙さをコントロールできない点は、悪路に入り込むことを躊躇させられるだろう。これまでジムニーでは無事に生還できていたが、どうもキャミだと帰って来れなくなるのではないかと思うのであった。
 
★4ドアは荷物の出し入れにも便利
 1人か又は2人の旅の時には、荷室が狭いので後部座席も荷物置き場となる。人の乗り降りがないのに、折角の4ドアも意味がないかと思ったら、荷物の出し入れに便利だった。
 
★後部座席のヘッドレストは視界の邪魔
 ジムニーの後部座席にはヘッドレストがなかった。4ドアのキャミにはちゃんと付いている。それが、バックする時などに後方視界の邪魔になるのだ。「外してしまえば」と友人に言われ、なるほどと思った。後部座席に人が座ることは滅多にないのだ。それ以後、後部座席用の2つのヘッドレストのうち、1つは車の荷室に置き、1つは家の物置に仕舞い込んでしまった。私のキャミは乗車定員3名である。
 
★オイル交換
 ジムニーとほぼ同程度にやりやすい。ただ、レベルゲージが長くて屈曲しているので、ちょっと差し難い点がある。オイル交換の時期は、推奨が「10,000Kmに1回」となっている。ジムニーでは5,000Kmだった。回数が減って助かる。
 
★タイヤローテーションは一苦労
 オイル交換は楽になったが、代わりにタイヤローテーションという手間が増えた。推奨は5,000Kmに1回。スペアタイヤを含めた5本で回すことになっている。
 パートタイム4WDのジムニーなら、左右のタイヤの減り方は揃えた方がいいが、前後のタイヤの差は全く気にしなかった。前輪に半分以上磨り減ったタイヤを使い、後輪に新品のタイヤを付けた時もある。それだと、さすがにアスファルト路面で4駆に入れると具合が悪いが、グリップの悪いダートなら大丈夫だ。それに4駆を必要とする事態など滅多にない。ちょっとした未舗装路なら2駆のままで走っていた。
 ところがキャミはフルタイム4駆なので、2駆で走りたいといっても無理である。前後のタイヤに差があると、絶えずセンターデフに負担を掛かけることになってしまう。また咄嗟のパンクに、新品のスペアタイヤを使う訳にもいかない。スペアタイヤを含めたタイヤローテーションは、避けては通れない。
 業者に持ち込んでタイヤローテーションを頼むと、4,000円前後の工賃が取られてしまうようだ。そこで、タイヤ交換の練習も兼ね、自分で5本のローテーションをやってみることにした。ジムニーではスタッドレスタイヤの交換などいつも自分でやっていたので、タイヤ交換そのものには慣れている。ところが暑い夏の炎天下に、2時間近く掛かってしまった。もうこりごりといった感じである。慣ればもう少し手際も良くなるだろうが、これからも5,000Kmおきにこんな苦労をするのかと思うと気が重い。安い業者を探してみようと思う。
 

島根県西郷町 西郷岬灯台にて
米子に着いた次の日、フェリーで隠岐の島に渡った
 
 
 キャミの納車後、もうはや4ヵ月が経ち、走行距離は7,000Kmを超えた。購入当初からやや小さいと感じていたキャミだが、毎日の会社通勤に一人で乗っている分には手頃な車である。そう旅にばかり出掛けている訳ではないので、通勤手段として適しているかどうかは実質的な問題であった。
 
 一方、野宿道具など多くの荷物を積んでの旅行や旅となると、やはり車内の空間的な余裕がない。勿論一人旅なら何の問題もないが、2、3人で出掛けようとすると、いろいろ工夫が必要である。荷室に荷物を積み上げると取り出しにくい。ジムニーでやっていたのと同様に、下の方に引き出し式のケースを並べ、上の荷物を出さなくとも引き出しから野宿道具などを出せるようにした。後部座席の一部もうまく利用して荷物を積む。
 運転席はいいが助手席に座っていると細身の私でも足元がやや窮屈だ。代わりに床にマットを敷き、その上に裸足で足を投げ出すと、夏などはすこぶる気持ちがいい。少ない空間でも工夫次第で快適さは得られるという訳だ。
 
 初めから大きくて快適な車では何の工夫も必要ない。その点キャミは、その不足や不便を自分なりのアイデアで工夫しカバーする余地がある。それがまた楽しい。野宿旅そのものもそうである。いろいろ工夫してこれからキャミでいい旅ができるといいのだが。  (おわり)
 

朝日スーパー林道の新潟・山形の県境にて
こうした一般的な未舗装路なら、何ら問題なく走ってくれるキャミであった
 
 
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