サラリーマン野宿旅
旅の小道具

 初掲載 1999/8/22

 移動手段であるバイクや車、それと野宿に使うテントやシュラフといった物は旅の必需品である。それ以外に旅にちょっと持って行くと便利な小物がいろいろとある。オートバイの旅だと荷物はなるべく減らしたいものだが、車だと気兼ね無く沢山積めるのでいい。野宿を快適に過ごす為の物とか、遊び道具、いざという緊急時に役に立つ物などいろいろ積んで旅に出掛けられる。
 勿論旅先で釣りをするとかカヌーをやろうというのでは、それなりに本格的な準備が必要だが、ちょっとした小物でも旅を豊かにすることができるのだ。ここではそんな旅の小道具をいろいろ考えてみる。

 でもあまりエスカレートして車の荷台がいっぱいになる程持って行くと、使いたい時にどこにあるのか見付からず、大変いらいらしたりする。また折角持って行っても結局一度も使う機会がなければ意味がない。それに店に並んでいるアウトドア用品の中には一見便利そうに思えて、実際に試してみると全然役に立たない物も案外多いのである。実践して自分自身で確認したいものだ。また既製品を買ってきてそのまま使うのでなく、いろいろ創意工夫してみるのも面白い。
 


発泡スチロール
 何に使うかというと座るのである。
 キャンプ用の折りたたみチェアーなど使おうと思ったことがない。どっかと腰をおろして長時間過ごすキャンプではないからだ。食事や焚き火をする時に、そこらにある岩や木を持ってきてちょっと座ればそれで済んでしまう。それに軽自動車だといくら折りたたみ式でも椅子は邪魔である。
 しかし岩や木では座り心地はやっぱり悪いし、野宿地に手ごろな岩や木がない場合もある。そこで発泡スチロールなのだ。扇風機などちょと大きな家電製品を買えば、段ボール箱の中に大抵入っているあれである。それほど大きな発泡スチロールでなくても地面に直接座るよりは楽だ。また岩などの上にクッション代わりとして敷くのもいい。
 ただ発泡スチロールはぽろぽろ崩れやすく、剥がれた屑が静電気でまとわりつくので厄介だ。また車に積んでおくと走行時の揺れで擦れてキュッキュと音がするのも耳障りとなる。欲を言えば発泡スチロールの代わりに、何と言うのか分からないが発泡スチロールに似いて、それでもろくない物が世の中に存在する。今はそれの大きさが幅20cm、長さ40cm、厚み10cmの物を2個いつも車に積んでいて使っている。
 椅子代わりのほかにテーブル代わりにもなるし、車に積んだ時は荷物が動かない用に隙間を埋めるのに役立つ。水を入れた20リッターのポリタンクやガソリン携行缶などの重量物を固定するのにもってこいだ。
 とにかく軽いから扱い易いし、車の燃費に影響する心配が全くない。旅に出掛ける時以外も2〜3個車の荷台やトランクに放り込んでおいて損はないのである。

 

カップ麺のカップ
 家でカップ麺を食べた時などに、食べ終わったカップを洗っておき、旅に持って行くのだ。ステンレスやアルミ製のカップでは熱くて口を付けられないが、その点カップ麺のカップなら大丈夫だ。保温性も勿論金属製のカップの比ではない。
 それに金属製のカップでは長い旅の途中ではなかなか洗う機会がないし、旅から帰ってきて洗剤を使ってきっちり洗うのがこれまた面倒である。
 カップ麺のカップなら2、3回使ったら捨ててしまう。もともと捨てる物だったから、全く惜しくはない。
 それまではいろいろ金属製カップを持って行ったが、今ではラーメン用手鍋一個だけで全て間に合っている。ラーメン鍋でお湯を沸かし、ココアやスープ、味噌汁などはみんなカップ麺のカップで飲む。旅から戻ってきた時の荷物整理も非常に楽になった。

 

シャベル
 アウトドアではいろいろ使いそうに思うのがこのシャベルである。車が泥道でスタックした時とか、テントを設営する時には寝心地がいい様に地面をならすのに活躍しそうに思う。またアウトドア教本などには、雨の時にテントの周りに溝を堀り、雨水からテントを守る方法がよく紹介されている。
 私も野宿旅に用にと長さで60cmくらいの小型のシャベルを買った。しかし実際にそんな事で使ったことはほとんどないのである。
 まず帰ってこれなくなると困るので、あまり無茶な道には入り込まない。万が一スタックしたら、シャベル一本程度で抜け出せるとは思えないのだ。手動ウインチくらいなければだめだろう。それに道が土砂や雪で埋まっているのをシャベルを使って人力で除くなんて、どれだけ体力が要るか分かったものじゃない。
 またエアーマットを使っているので、地面のでこぼこなどあまり気にしないでテントを設営できている。テントの周りに溝を掘るなんて、かったるくてやってられない。
 しかしそれでもシャベルは野宿旅には必需品なのである。野宿した朝のトイレの穴掘りに欠かせないのだ。ほとんどそれだけの用途しかないのだが、無いとやっぱり不便な物なのである。

  

トイレットペーパー
 ボックスティッシュなら誰でも車の中に1個ぐらいは置いてある。でも野宿ではやっぱり例のロール状のトイレットペーパでなければ様にならない。勿論用を足した後に使うのである。野宿した朝は片手にシャベル、片手にトイレットペーパを持って、いそいそと茂みを探しに出掛けるのだ。そんな時ボックスティッシュではカッコつかない。誰も見ている訳ではないのだが、美意識の問題である。
 それとまだ新品であまりロールが大きいと、これもまたみっともない。キャンプ場のトイレを使う場合などでも、そんな物を持って歩いていたら目立ってしまう。そこである程度使って小さくなったトイレットペーパを野宿旅用として持って行くのがいい。
 念のため私はそんな小さなロールを3個ほど用意し、車の荷台やグローブボックス、バッグの中と分散して置いてある。胃腸関係が弱いのでいざと言う時に手近にあるのを掴んで走るのだ。シャベルを持つ余裕がなくても、トイレットペーパだけは欠かせない。これがないと人間としての威厳が保てなくなる恐れがあるからだ。

 

虫除けスプレー
蚊取り線香
 野宿はほんのちょとした事でも不快なものになり、場合によっては十分な睡眠が邪魔されることがある。そうした厄介物の一つが夏場の蚊である。
 普段アルミサッシの機密のいい部屋でエアコン生活を送っている者にとっては、たった一匹の蚊でも閉口するものだ。寝ている耳元でブーんと鳴る羽音がうるさいし、足の裏など刺されるものなら、もう寝ていられない。
 そんな軟弱体質は鍛えなおすべきであろうが、滅多に旅に出掛ける訳ではないので、そうもいかないのが我々サラリーマンである。そこで文明の利器を使って対策することになるのである。
 まず野外で活動するには虫除けスプレーで露出した肌をガードする。首筋や顔、足首なども念入りにガードするといい。顔など粘膜がある部分には直接スプレーすることは出来ないので、一旦手の平にスプレーして塗る。ティッシュ状な物に液が染み込ませてあるタイプなどもなかなか使い易い。効果は抜群で、虫除けスプレーを使った時に蚊で悩まされたことはないのである。
 次にテントの中での対策である。虫除けスプレーが一晩中効果があるとも限らないので、就寝前にテントの中の蚊を撲滅するのである。それには蚊取り線香が打って付けだ。狭いテントの中では、5センチ程度の長さの蚊取り線香を燃やせばそれで十分で、極めて経済的なのだ。私は浅田飴の缶に入れて持って行き、缶の蓋の上で燃やして使っている。ただし防虫ネットがあるテントは必須だ。虫が入らず換気が出来なければならない。
 普段は電気式の蚊取り器を使っていて、蚊取り線香など優雅なものを使う機会は滅多になくなった。野宿の夜、ローソクの炎で照らし出されたテントの中で、ゆらゆら立ち上る線香の煙を眺めているのは、なかなか面白いのである。

 

ランタン
懐中電灯
ローソク
 初めて野宿しようとする時は、明かりはなくてはならない物のように思える。私も奮発してLPガスを使ったランタンを買ってしまった。しかし実際は漆黒の闇夜なんて滅多になく、月明かりや星明りでも慣れれば案外歩き回れるものだ。
 それでも食事をしたり、何か物を探すにはやはり明かりはあった方がいい。明かりの形態にはいろいろいある。お金を掛ければいくらでも便利で明るい光が得られる。本格的なランタンもいいし、ローソクでもいい。贅沢にLPガスを使ったランタンは白く明るい光が得られる。電池式の蛍光管ランタンや額に着けるヘッドライトも使い勝手がいい。ローソク立てに凝るのも一考だ。
 ただ私は電池という代物がもったいなく思えて仕方がなく、テントの中ではもっぱらローソクだ。それもお菓子の空き缶をローソク立てに使っている。テントの外ではなるべく焚き火をして明かりを得る。日が沈む前に食事を済ませてしまえば、他にはランタンなどの明かりを必要とすることはほとんどない。手近に懐中電灯を置き、ちょっと動き回る時に点ける程度である。
 しかし万が一夜中に悪天候でテントを撤収する事態などを考えて、懐中電灯は2本用意し、一本は防水性の物を選んでいる。しかも予備の電池や電球も準備するという念の入れようだ。
 電池やLPガスの消耗が気になって仕方が無いこんなケチな私だが、時にはランタンを使うこともある。折角買ったのでもったいないという気持ちもあり、時々旅に持って行く。晧晧と放たれるランタンの光が、テントサイトを明るく照らし出す。日が落ちた闇夜の中で、その場所だけが人間が安らげる唯一の拠り所の様に思われる。しかしPLガスの栓はランタンが消えるぎりぎりまで絞ることは忘れないのであった。

 

金槌と
予備のペグ
 最近のテントは組み立てに道具も要らず一人でもできて便利である。ただ相変わらずペグの打ち込みは必要で、金槌はあった方がいい。
 最初はそんな物使わず、もっとアウトドアらしく石など使えばいいかと思ったが、案外手ごろな石が見付からないものだ。それに下手をして手などを怪我したくはない。私は全体が金属で出来ている金槌を買った。汚れに強く比較的軽くて使い易い。ペグを引き抜く時にも使えて便利だ。
 それとペグはよくなくす代物だ。ついうっかり置き忘れてだんだん本数が減ってくる。しかしペグだけ買おうとするとこれまた高い。しかし私の場合は安物のテントをいく張りも買って持っているので、まだ何本なくしても大丈夫である。

 


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