サラリーマン野宿旅
生理現象
 
旅先に於けるトイレの
 
見つけ方
 
その13の方法
<初掲載 2002. 6.24>
 
はじめに
 
 旅先で腹をこわした時などの緊急事態は勿論のこと、そうでなくても人間も生き物である限り生理現象は絶えず付きまとうはなしである。毎日、毎日、済ますべきものはきちっと済まさなければならい。そこで、旅先でトイレを見付ける方法、コツといったようなものを心得ていると、それはそれなりに役立つのである。事によるとちょっとした機転が我が身を助けることになるのである。逆に何の対応策も取れずにまごまごしていると、大惨事を招くことにもなりかねないのである。
 旅をしている最中にどのようにトイレを見つけるか。どのようにしてトイレにたどり着くか。こうしたことについてこれまでの実体験を元に、まじめに考察してみようと思うのであった。
 
1.駅
 
 車やバイクの旅では一見列車の駅とは無関係なようだが、列車に乗る用事がなくても旅の途中で駅に立ち寄ることはままある。例えばローカル線の終着駅などは、鉄道マニアでなくともちょっと立ち寄って見たい気がするではないか。あるいは、泊まるホテルや旅館の所在地が分からない時など、駅の周辺案内図を見たり公衆電話をかけたりと、情報収集の場として駅は打って付けである。そこで、トイレを借りる目的で駅を利用するということが考えられる。鉄道の駅なら道路地図にも必ずその所在は明記されているし、道路標識なども完備されているケースが多い。車で駅までたどり着くことは、比較的容易なことである点は見逃せない。
 
 一概に駅といってもいろいろある。大都会の駅ビルの中に埋まったような駅から、田んぼの中の一軒家の様なホームだけしかない無人駅まで、その大きさや形態はさまざまだ。駅前に大きなローターなどがあり、頻繁にタクシーやバスが出入りしているような都会の駅では、車を駐車する場所を探すだけでも大変である。ましてや、無料の駐車場などは期待すべくもない。そうした都会の駅に何度か不用意に紛れ込んでしまい、タクシーからクラクションの嵐を見舞ったこともある。あまり近寄りたくない所だ。それに、そんな都会なら駅以外でトイレを探した方が利口というものだ。
 
 それに対して、田舎の駅はいい。いくら小さな駅でも、駅前やその近くに僅かながらも車を乗り降りするスペースくらいはある。離発着する列車の本数も少ないから、ほとんどいつも閑散としている。これならトイレを借りる間、ちょっと車を停めておいても文句を言われる心配がない。
 
 トイレが必要な時に地図を調べ、近くにローカル線でも通っていたら、最寄の駅に立ち寄ってみるのは一つの手である。但し、わざわざ行ってみたら、駅構内に入らないとトイレが使えなかったり、そもそもトイレの設備を全く持たない小さな駅だったりする。その時は諦めるより仕方がない。それに、そもそも辺ぴな所を旅していると、その近辺に鉄道など全く通っていないのだ。いつでも使える手という訳ではない。
 
2.道の駅
 
 鉄道の駅と違って「道の駅」なら、元から車が立ち寄る目的で造られた場所だから、利用するのは非常に好都合である。どんなに設備が整っていない貧弱な道の駅でもトイレだけは必ずある。道路標識もちゃんと出ている。道の駅はこの10年くらいの間に、どんどん増えているのも嬉しい。
 
 ただ、どこにあるのか知る手立てに困る。勿論一般の道路地図に載っているが、新しい道の駅となると、地図も新しくしなければならない。しかし、そんなに頻繁に地図を買い換えるなどできはしない。
 そこでお勧めは、高速道路のサービスエリアのインフォメーションカウンタで配布している、サービスエリアやパーキングエリアのパンスレットである。その裏面全体にその地域の地図が、50万分の一前後の縮尺で描かれているのは誰でもご存知だろう。なかなか便利で、ただにしてはなかなか価値があるものだ。
 その地図をよく見ると、道の駅もちゃんと記載されているのだ。縮尺が大きいので、正確な位置はつかみ難いが、大抵の場合、道の駅は主要な幹線道路沿いにあり、またその近くに行けば、道路標識が導いてくれるので、見付からないことはない。あの地図なら無料なので、高速道路を利用するたびに新しいのをもらっておけばよいのである。
 
 道の駅はトイレ以外にも、ちょっと休憩したり、昼食をとったりといろいろ便利である。但し、道の駅にあるレストランなどを使うことはほとんどなく、大抵駐車場の片隅でコンロを出し、カップラーメンを作ってすすっている。飲料水の自販機を利用することもなく、道の駅ではびた一文お金を落とさない。もっぱら無料で使わせてもらっている。
 
 車やバイクの旅では有用な道の駅だが、近年数が増えたとはいっても、旅先でそう都合よく道の駅が近くにあるとは限らない。あれば便利だが、必要な時ほどないものである。
 
3.サービスエリア(SA)、パーキングエリア(PA)
 
 高速道路を走行中なら、これは全く問題ない。トイレの必要を感じたら適当なサービスエリア(SA)やパーキングエリア(PA)に入ればいいだけのことだ。
 
 SAは無料の茶器があったり無料の地図がもらえたりで便利だが、誰もがやって来るので休日などは多くの観光客でごったがえす。トイレも混雑し、特に男性用の個室は満杯だったりする。あんな所で順番待ちなどしたくはないものだ。それに、人が使った後に直ぐ入るのもいやな感じである。
 その点、PAの方は空いてていい。特に個室に入りたいと思ったら、迷うことなくPAに入るべきである。
 
4.ガソリンスタンド
 
 車にとって欠かせないガソリンスタンドは、比較的あちこちにあり、ガスを入れたついでにトイレを借りるということは、至極常識的で一般的なことである。
 
 ところが、急にトイレが必要となったそんな時に限り、フュエルメータはほとんど満タンを指していたりする。20リッターなり10リッターでも入れられれば問題ないが、全くガスを入れずにトイレだけ借りるというのは、さすがにちょっと気が引ける。かといって、ガスを入れる以外にガソリンスタンドに立ち寄る正当な理由は思い浮かばない。まあ、よっぽどの緊急事態なら、ガソリンスタンドの店員も大目に見てくれるだろう。でも、個人的には対人関係が苦手なので、やはり他の手段を探すこととなる。
 
5.食堂・レストラン
 
 食事をする目的で店に入り、ついでに店内のトイレを借りることはある。しかし、元々腹具合が悪くてトイレに行きたいというのでは、食堂に入ること自体ちょっと矛盾した話しだ。
 それに、余計なお金がかかるのも気にくわない。食堂などに入らなくても、コンロでお湯さえ沸かせれば、即席やレトルトが発達した現代では何だって食べられる。カップラーメンなら経費は100円未満で済むのだ。それをわざわざトイレを借りる為にファミレスなどに入り、大枚600円から1000円近くも(そんなに安くはないか?)払うということは、全く許される話しではないのだ。お金を使うとしてもせいぜい牛丼の並280円までが限度であろう。
 ちなみに、牛丼の吉野家では、小さいながらもちゃんとトイレが完備されている。テイクアウトのレジの奥の方にある。雨天や暑い日、寒い日など、野外で食事がし難い時に吉野屋を使い、お茶もゆっくり飲んで、最後にトイレも借りるというなら、充分280円を払う価値はある。
 
6.一般の店
 
 小さな個人商店では客用のトイレなどないが、ちょっと大きめのスーパーなら、店の片隅などに申し訳程度のトイレがあることがある。しかし、広い店内でなかなかトイレが見付け難いことが多い。それに、トイレだけ使って店を出たのでは、店員の目が気になる。目に付かないほど広い店内ならいいだろうが、小さな店では如何にもトイレを使いに来たなと見破られてしまう。そういう場合は缶ジュース一本でも買って帰ることになる。
 店の種類としては、郊外にある大規模店舗のスーパーが一番だ。駐車場も広いし、必ずトイレがある。ついでに食料調達もできる。コンビニなどで買うよりずっと安い。
 ところで、コンビニはセブンイレブンやファミリーマートは全トイレを貸してくれない。その点、ミニストップは客用のトイレがあって便利だ。勿論何も買わない訳にはいかないだろうが。
 
7.役場や消防署やなどの公的建物
 
 私個人としては経験がないのだが、友人の話では消防署に駆け込んで、使わせてもらったことがあるそうな。村役場や郵便局などはどんな田舎でも見掛けるが、そんな所でトイレが借りられるかちょっと疑問である。トイレ目的でそうした建物に入るのは、なかなか勇気がいそうで、私にはできそうもない。
 
8.一般の公園やスポーツ施設
 
 必ずあるとは限らないが、誰でも使える一般の公園に、嬉しいことにトイレが設けられている場合がある。また、野球場や陸上競技場、体育館や武道館など、ある程度大きな施設なら、まず間違いなくトイレの設備がある。しかも、こうした公共の場所なら、あまり気兼ねが要らない。それに今時どこの田舎に行っても、ちょっとした公園などがよく整えられている。そこで、トイレに行きたいと思ったらツーリングマップルを開き、近くに公園やスポーツ施設がないか探す。これは個人的にはよく使う手で、成功率もなかなか高い。
 
9.田舎の名所・旧跡
 
 本来、名所・旧跡を訪れることなどしない旅をしているが、トイレ目的で立ち寄ることはある。勿論、はなから観光客がわんさか押し寄せるような観光地には近付かないので、名所・旧跡といっても名声が全国にとどろいているような有名で大規模なものではない。通り掛かりの小さな町や村にある、その自治体だけで指定しているこじんまりとした史跡などである。だからそこに行き着くまで、その村の名所とやらがどんなものかさっぱり分からない。道案内も不十分だから見つけるのにも苦労する。挙句の果て、やっとたどり着いたのに、ちょとした案内看板が立っているだけで、トイレなんか全くないなんてことがほとんどである。
 
10.ダム
 
 日本にはやたらにダムが多い。その功罪が近年議論を呼ぶこともあるようだが、展望所やトイレが設けられていると、訪れる旅人にとってはそれなりに利用価値があるというものだ。トイレ休憩を兼ねて、暫くダム湖の景色を眺めるのもいい。場合によっては展示室が設けられているダムもあり、ひやかしついでに立ち寄ればいい暇つぶしだ。長野県木祖村の味噌川ダムに行った折り、そんな展示館があったので何の気なしに入ったら、何と案内の若い女性が出てきてドギマギしてしまった。女性がいると分かっていたら、野宿仕様ではなく、もう少しましな格好をしたものを・・・。
 
 ダムの堰堤近くにトイレが見付からなかったら、ダム湖の周辺やダムの下流も探してみる。ダムの下流が公園風に整えられていて、トイレや東屋があったりする場合があるからだ。それでもやっぱり見付からず、またトイレを求めて走り出すことの方が多かったような気がするが・・・。
 
11.キャンプ場
 
 勿論、自分が利用したキャンプ場のトイレを借りるのに、何の遠慮もいりはしない。そうではなくて、全く関係のないキャンプ場で、そこにあるトイレだけちゃっかり借りるのだ。
 
 野宿旅では有料のオートキャンプ場など使いたくもないし、無料でもゴミゴミしたうるさいキャンプ場はご免である。野宿地探しの最中にそんなキャンプ場を見掛けても、一瞥して通り過ぎるだけである。でも、その場所をしっかり覚えておいて、野宿の翌朝早くに立ち寄り、まだ寝静まったキャンパーをよそに、こっそりトイレを済ませるのである。トイレだけならお金を取られる心配はいらない。
 
 ただし、車を停める駐車場自体が有料だったり、駐車場がキャンプ場に設けられたゲートの中だったりすると、ちょっと厄介だ。少し離れてもいいから、車が置ける所を確保しなければならない。車さえ停められれば、後は何の問題もない。ゲートのあるオートキャンプ場だろうがどこだろうが、人の出入りには何の支障もない。キャンプ場の中に入ってしまえば、そこの利用者の振りをし、堂々と歩いて堂々とトイレを使えばいいのである。まあ、ちょっとは管理人の目を気にはするが。
 
12.工事現場
 
 造成地の工事現場などには、作業者の為の仮説のトイレが設置されている場合が多い。公衆電話ボックスくらいの箱型をした移設可能なトイレだ。そこを使う手はあるかもしれない。でも、工事作業中では関係者以外が使う訳にはいかないし、日曜などの作業をしていない時は、トイレにカギが掛かっている場合が多いのだ。それに、どこで工事しているか分からないから、偶然見つけた時以外は、使おうとして使えるトイレではない。
 
13.その他
 
 車やバイクで旅をしていると、そこが観光地などといった特別な場所という訳でもないのに、ひょっこり道路脇に公衆トイレがあることがある。それは田舎の小さな集落に多い。観光旅行者など滅多に通らないのに、一体誰が使うのだろうかとも思う。でも、どこか用足しができるところはないかと探している時、そんなトイレを思い掛けなく見つけると嬉しくなる。ちっちゃなトイレだが地元の人の手により綺麗に掃除してあり気持ちよく使える。トイレットペーパーもちゃんと備え付けられている。旅をする者にとって、こうしたトイレは全く有難いことだ。
 
おわりに
 
 考えればトイレの見つけ方は他にもいろいろあるだろうが、どんな場合にも使えるという決め手がある訳ではなさそうだ。その場所の状況に応じて対処するしかない。旅先でトイレ探しに右往左往するくらい惨めで馬鹿げたことはないのだが、これからも旅を続ける限りずっと付きまとう課題のようだ。
 
☆生理現象
 
☆サラリーマン野宿旅      ☆目 次