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二口峠
  
ふたくちとうげ
 
奥羽山脈を越えて山寺へ
 

二口峠
二口峠
奥が山形市、手前が仙台市
 二口(ふたくち)峠は仙台市と山形市や天童市を結ぶ道の宮城県と山形県の県境の峠だ。峠前後は二口林道と呼ばれる未舗装路となってる。 

 元は山形市の立谷川沿いを上り、山伏峠(934m)を越える道と、同じく高瀬川沿いを上り、清水峠(1、130m)を越える道の二つがあった為に二口と呼ばれているそうだ。人の足でやっと通れる様な山道だったようだが、明治15年に今の国道48号の旧関山トンネルが開通したことにより、どちらの峠も使われなくなった。 

 
 後に二口林道か開削され、現在は車でも通れる。現在の二口林道の道はほぼ昔の山伏峠越えのコースを辿っているものと思われ、峠の標高は約900mである。
    
 山形側の峠道の入口は山寺の名で有名な立石寺である。山形市内のガソリンスタンドで立石寺への道を尋ねると、何処かで聞いた事のある寺だなあと首を傾げている。山寺の事だと言ってやっと分かってもらった。地元では正式名称では無く、愛称で通っている。市内を走る国道13号から分かれて県道を来ると、山寺の麓は如何にも観光地といった雰囲気で賑やかだ。
 
 県道はそこで終わり、一見道のどん詰りの様に思えるが、東へ向かって細々と道が続いている。そこを進むとさっきの喧騒が嘘の様な寂しい峠道に変身する。間もなく未舗装路が現われ、二口林道の標識も見える。林道は一部舗装されている区間もあり、全般に走り易い。西の方面には山形市や天童市の眺めが広がる。 

 これといった急坂、急カーブもなくすんなり峠に着く。 

林道標識
二口林道の標識  山形側
 宮城県側は峠直下に山肌を九十九(つづら)折りが続いている。呆れて眺めていると、この寂しい峠道を案外車が通る。それも如何にも林道を走りに来ましたというオフロード車でなく普通の乗用車で、観光や行楽に来た様な雰囲気ではない。

 そのうち1台の原付バイクが山形側より上って来た。トレール車ではなく、町中でよく見掛けるスクータータイプだ。さすがに砂利道では走りにくそうだが、運転している本人は何の気負いもなくハンドルを操っている。釣竿を持っているわけではなく、もちろんテントやシュラフを荷台にくくり付けているわけでもない。ショルダーバッグを肩からぶら下げ、ちょっとそこまで用事に行ってきますといった感じだ。私の目の前を通り過ぎて宮城県側に下って行く。九十九折りに見えては隠れ、隠れては見え、そのたびに徐々に遠ざかっていくが、しばらく経ってもまだ手の届きそうな所にいる。

    
宮城県側の眺め
宮城県側の眺め  峠の直後の九十九折り
 
 本来峠道は生活の道であり、その意味でこの二口峠の道は活きていると言えるようだ。
   
 尚、元祖の山伏峠の仇とも言える旧関山トンネル(関山峠)に後日行ってみることとした。関山トンネルがある国道48号は仙台市と天童市を結ぶ道で、二口林道に対して北方を回り込む経路を取る。峠は二口峠の北東15Km程に位置する。現在は関山トンネルでたやすく峠を越えるが、旧関山トンネルによる峠越えの道約6Km程が残っている可能性があった。仙台側から行くと関山トンネルの手前を左に分岐するはず。ところが見つからずトンネルを過ぎてしまった。引き返してよく調べてみると、やっと分岐の跡らしいものを見つけたが、今はもう車は入り込めないようになっていた。山伏峠に取って代わった関山峠(旧関山トンネル)も既に新関山トンネルに取って代わられていたわけだ。
 
二口峠(その後)
   
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