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京柱峠
 
きょうばしらとうげ
 
 四国の山深さを実感する峠道
 

 
峠
 
峠 バイクの先客がひとり
 
  四国は周りを海で囲まれているが、内陸の山深さもたいしたものだ。その山深い四国を背骨の様に横断している国道がある。 国道439号である。439は徳島県の徳島市から高知県の中村市に至る道で、途中国道32号と共有している区間が僅かにあるが、ほぼ四国の内陸を横に一本貫いている。徳島県では剣山を横ににらみ、高知では四国カルスト台地を仰ぎ見て、幾つもの峠を越え、谷を渡っていく。その439が徳島と高知の県境を越える峠が京柱(きょうばしら)峠である。
 
 峠の名前はユニークなので一度聞くとすぐ覚えてしまうが、名前だけではなく峠道そのものも一度行くと忘れられない。国道でありながら峠前後は完全な未舗装路なのだ(少なくとも1992年4月現在そうだった)。よくあるように申し訳程度に未舗装区間を残している中途半端な国道たちとはわけが違う。まさしく林道と呼ぶにふさわしい、走りごたえのある未舗装路をとどめている。いまどきの日本では珍しい見上げた国道だ。
 
高知側の眺め
 
峠より高知県側を望む
 
  峠からはどちら側にも展望が開けている。残念ながら広角レンズのカメラでも収めきれない程開けているので、景色は自分の目に焼き付けるよりない。
 

 
 徳島県側から439を来ると、東祖谷山村で右に西祖谷山村への県道32号を分ける。標識には大歩危とか、かずらばしとか観光名所で示してある。 
 
 その先しばらく谷道川の谷間に点在する集落を眺めながら進むが、人家が途切れ、いよいよ上り坂に掛かると暗く、極端に狭い道となる。初めて訪れた時は道を間違えたと思った。こんな道が仮にも国道であるはずがない。引き返してみても他にめぼしい分岐がない。半信半疑でまた先に進める。 
谷道川周辺

谷道川沿いの集落

大歩危への分岐

右は西祖谷山村 

 
  すると間もなく視界が広がり、舗装も途切れた。見ると西に向かって明るく広い谷間を林道が見え隠れしながら延々と伸びている。もうここが国道であろうがなんであろうがどうでもよい。じっくり噛み締めて走る。
   

  
 峠を高知県大豊町に下る。未舗装は続く。ふと前方より場違いの黄色いスポーツタイプの乗用車がのろのろやってくる。道は狭い。路肩ぎりぎりに車を停め、なるべく通過し易いようにスペースを作ってやる。すれ違いざまその車も停まった。若い女性ドライバーがひとり、この道は徳島県に越えられるかと聞く。確かに越えられるので手短にそうだと答える。その女性はまだ何か言いたげだったが、礼を言い、またのろのろ走り出した。 
 
 439は国道32号に合流する。左折して12Km程32に乗り、また右に別れて439はさらに続く。 
国道32号に出る
高知県側 国道32号に合流
  


 
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