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谷地峠 (仮称)
 
やち とうげ
 
奥深い福島と山形の県境の峠
<更新 1998/ 7/11> 写真を頂きました
<1998/ 7/19 五枚沢林道排土完了>
 
谷地峠
五枚沢林道途中 谷地峠を望む
前方に山肌がむきだした所が峠
 福島県と山形県の境の峠としてはあの大峠が知られている人には知られている。今は通れなくなった大峠隧道を抜ける旧国道121号を懐かしく思う人もいれば、新道の長い大峠トンネルを通る道を快適なドライブルートとして利用している人もいる。その大峠のある県境の更に西側にまだ峰を越えて通じている道がある。福島県熱塩加納村と山形県飯豊町を結ぶ林道で、赤崩山の近くを越える峠道である。さすがにこれより西には飯豊山などの山々がそびえ立ち、車道はしばらく存在しない。 

 峠の名前には決まったものがないようだ。熱塩加納村の役場に勤める方に教えて頂いたところによると谷地(やち)峠と言い習わしているとのこと。そこでここでもそう呼ぶことにする。

 
 山形県からの道は2通りある。飯豊町を流れる白川沿いの岳谷を通る道と、同じく飯豊町内の広河原川沿いの広河原を通る道である。この二つのルートは峠直前の谷地平と呼ばれる平坦地で合流し峠に続いている。 

 白川沿いの道(今は県道378号岳谷上谷地線)を溯る。岳谷を過ぎても一向に未舗装にならない。逆に真新しい走り良い2車線路が先に伸びている。しかし周りは森に囲まれ、走る車もない。こんな所にこんないい道を作ってもほんとに使われるのだろうか。少なくとも私が走るにはこんないい道でなくてよいのですが。 

 しばらくしてやっと未舗装になった。そこには「トンネル工事中 大規模林道飯豊桧枝岐線」(1995年8月)とあった。飯豊山登山口である大日杉方面に伸びる林道と思われるが、どこかに通じるようになるのだろうか気になる林道だ。今頃はもう完成しただろうか。

飯豊桧枝岐林道起点
山形県飯豊町 飯豊桧枝岐林道工事起点
 
葡萄沢林道起点
岳谷の先 葡萄沢林道起点
 土ぼこりのする工事区間に恐る恐る入り込む。峠に続く林道は何処にあるのだろうか。その時点ではまだ名前も知らない林道であった。右手に広がる工事現場を眺めながら進む。 

 工事看板があちこち立つ中でやっと工事看板ではない標識に出くわした。葡萄(ぶどう)沢林道と書かれた林道起点標識である。どうやらこれが目的の林道のようだ。後で分かったことだが葡萄沢とは白川の源流の一つであり、地図によっては岳谷から谷地平を通って広河原までを葡萄沢林道と記しているものもある。 

 ここからやっと林道らしい林道が始まる。

 
 もともと好きで走る林道であり、こうした狭い道もこれで峠を越えられると思うと全く苦にならない。道を楽しみ景色を楽しむ。しかし途中で通行止にでも遭って引き返す羽目になると、ただただ気ばかり遣う道となる時がままある。この時もそうだった。不意に崖崩れの通行止となった。崖崩れの様子を見ると、無理に通過することもできそうだが、安全優先で引き返すこととした。しかし戻りながらも強硬突破しておけばよかっただろうかと、まだ迷っていて気が滅入る。
葡萄沢林道崖崩れ
葡萄沢林道の崖崩れ現場
 
通行止
広河原のコースも土砂崩れで通り抜け不可
 引き返そうと判断したのにはもう一つ別ルートがあるということがあった。さっそく白川ダムを越えて広河原川沿いの道に進む。直ぐにダートとなった。前方には青々とした山並みがそびえる。楽しそうな道でわくわくしてきたところで、またしても車両通行止の看板に遭う。10Km先土砂崩れにつき福島県への通り抜け出来ませんとのこと。葡萄沢林道を無理しても通っておけば良かったかと悔やむことしきり。 
 
 広河原部落より先、広河原川の上流は左に東沢(林道名は東沢線)を分けて川は西沢と名を変え(林道名は滝沢線?)、さらにまた左に北沢を分けて谷地平に通じる谷地尻に道は沿って伸びていることになっている。しかし残念ながらその後も訪れることが出来ないで今に至ってしまった。 
 
 一本の峠道として通り抜けることは出来なくても、せめて峠にだけはどうにか辿り着きたい。大峠トンネルを抜けて福島県熱塩加納村に入る。峠までは峰越連絡林道五枚沢線が通じている。五枚沢川の途中にある五枚沢集落を起点にする林道だが、その道を探すのに苦労する。村内には五枚沢を示す標識がないので感に頼ってうろうろ走り回る。やっと若宮という地区で右の看板を見つけ、峠への道を確認した。 
 
 
 
 尚、ひめさゆりの里、熱塩加納村に関しては峠の名前に関する情報を下さった方のホームページがあります。詳しくはリンクのページをご覧ください。
熱塩加納村
ひめさゆりの里 熱塩加納村
 
五枚沢集落
五枚沢集落入り口
 宮下運動場を右に見て坂を登り始める。振り向けば村の平野部が見渡せる。高い建物などないので極めて見通しがよい。道は途中県道山都西会津線を左に分けて、それより先は交通量がほとんどない一本道となる。
 
 五枚沢川の左岸に沿う頃にダートが時折現れる。整備が行き届いたダートで、それもそのはず、その先にはまだ集落がある。入り口の左に「五枚沢」と書かれた木の看板が立つ小さな集落だ。
 
 集落を抜けると本格的なダートの林道となる。砂利が深く荒れている。訪れた時は夏の真っ盛りで、道にできた水溜まりに沢山の蝶が群れていた。更に進むと道の真ん中が大きくえぐれて、深い溝ができていた。多量の流水によるものだろう。はまれば出られそうにないほど深い溝だ。慎重に跨ぎ越す。バイクの運転免許の試験に1本橋というのがあるが、車の場合も2本橋を渡る技術が必要ではないかとちらりと思う。
 
 高度が上がると展望が広がり、行く手の峰に茶色く地肌が露出している部分が見える。そこが峠だ。赤崩という山の直下の峠としては何かふさわしい気がした。
五枚沢林道
五枚沢林道 砂利が深い
水溜まりに蝶が群がる
 
峠からの眺め
峠からの眺め
 峠からは福島県側には眺望があるが、山形県側はしばらく平坦な湿地が広がり、眺めは得られない。その峠付近の平坦地が谷地平と呼ばれるらしいが、夏にはただ一面の草原ばかりで、特に何があるというわけではなく、ましてや人は住んでいない。
 
 峠より少し山形県側に進んだ所を左に葡萄沢沿いの、その時は崖崩れで通れない葡萄林道が分岐していた。直進は谷地尻沿いに、土砂崩れさえなければ広河原まで通じる道である。 
 
<制作 1997.12.22 蓑上誠一>
 
 今年(1997年)の8月に再び五枚沢林道を目指した。何とか山形県側が通れればいいと期待していた。熱塩加納村ではまたもや迷走し、しかも五枚沢林道崩壊の為通行止の看板に出くわした。しかしよく見ると期間がもう過ぎている。一安心してやっと五枚沢集落に着くとまた同じ看板が出ていた。ところがこちらは通行止の期間が修正してある。来年の3月までとなっているではないか。今回は五枚沢林道さえも通れず、すごすご退散した。
五枚沢林道通行止
五枚沢林道 通行止
 

 
写真を頂きました。<1998/ 7/11>
 
 6月6日に熱塩加納村より登った高橋さんからです。
  
五枚沢林道工事箇所
五枚沢林道 補修箇所
五枚沢林道崖崩れ
五枚沢林道 土砂崩れ箇所
 
 五枚沢林道は途中補修箇所を過ぎやれやえと思った先、峠も間近というところで土砂崩れの為、車の通行は無理なようです。ただバイクの踏み跡はあります。
  
ひめさゆり祭り
ひめさゆり祭り
ひめさゆり
ひめさゆり
 峠を越えられなかったかわりと言っては申し訳有りませんが、「ひめさゆり祭り」を見学してきたそうです。なかなか盛況なようです。
 
 
 峠道状況(1998年7月18日)
 頂いた写真で通行困難だった五枚沢林道の箇所は排土が完了したそうです。これは「ひめさゆりの里 熱塩加納」というホームページ(リンク参照)を開いている方からご連絡頂きました。かなりぬかるみますので注意して走行してくださいとのことです。
 
第2話 (制作 2004. 4. 2)
 
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