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大笹峠/山伏峠
 
おおざさ とうげ/やんぶし とうげ
 
険しい山岳林道を越えて、静岡市の大井川の上流、井川集落へ
   
第2話(画像集)  第3話(最終話)
   

大笹峠
大笹峠/山伏峠 (撮影 1994. 4.24)
手前が山梨県早川町、奥が静岡県静岡市
道は井川雨畑林道
 
 地図を調べると静岡市というのは非常に広いことが分かる。太平洋岸の市街地中心部から内陸の山梨県や長野県の県境まで静岡市なのである。越すに越されぬ大井川の上流遥かに井川湖がある。列車では金谷から大井川鉄道大井川本線で千頭まで行き、千頭からは可愛らしいトロッコ列車の大井川鉄道井川線で井川駅。駅から少し歩くとやっと井川ダムにたどり着き、井川湖が眺められる。車で行く場合も細い道を延々と走らなければならない。井川は山や谷に隔てられた別世界である。しかしここも静岡市なのだ。井川の先はさらに南アルプスの奥懐へと続く。そんな井川に、山梨県側から越えて井川湖の上流に辿り着く林道があるのだ。
 
 山梨県早川町の雨畑湖から雨畑川を溯り、山伏岳の近く、大笹峠で県境を跨ぎ、静岡県側は小河内川の谷間に沿って下り、井川湖上流の小河内に達する、井川雨畑林道がそれである。骨のあるまさしくりっはな林道で、走るならやはりオフロード車の方がよさそうだ。

 雨畑側は比較的安定した林道で走り易い。ただ雪解けが遅く毎年4月いっぱいぐらいまでは通行不可となる。代わりに秋の紅葉は素晴らしい。

紅葉
雨畑側の紅葉 (撮影 1994.11. 6)
 
井川側の眺め
静岡県側 (撮影 1994. 4.24)
険しい山岳道路 井川湖はあの霧の下
 変わって井川側は急斜面にへばり付いた様な道が続き、路肩が弱く落石も多くて神経を使う。
 
 1992年前後に大きな土砂崩れがあり、道が寸断されてしまった。復旧工事はなかなか進まず、しばらく通行出来ないでいた。1994年にはまだ工事区間を残しながらもやっと通しで走れる様になった。
 
 この峠道は雨畑、井川の両湖や荒々しい雨畑川、井川側の雄大な景色と眺望に事欠かない。また井川に着いてからは井川湖周辺の探索も楽しい。林道が幾つか走っている。細長い井川湖のほぼ中央には井川大橋がある。対岸の集落に渡る為の生活用の吊り橋で車一台がやっと通れる。横に渡した鉄骨に二本の板がタイヤの幅に並べてある。そこにタイヤを乗せて脱輪しないようにゆっくりゆっくり走る。ちょっとしたスリルが味わえる。最近オートキャンプ場も出来た。
 
雨畑湖
ひっそり佇む雨畑湖 (撮影 1994.11. 6)
井川湖
霧に霞む井川湖 (撮影 1992. 8.15)
勘行峰林道途中より眺める
 
 県道を更に大井川の上流に進むと以前は一般車でも畑薙第一ダムの堰堤まで行けた。しかし途中大規模な土砂崩れで通行不能になってしまったのは残念だ。1994年11月現在開通の見込み無し。
 
 さて井川から静岡市街に脱出するには大きく2つのルートがある。1つは県道を別れ、トロッコ列車と同じ大井川沿いの渓谷、接阻峡を通って千頭まで行き、国道362号に出るルートである。県道からの入り口の狭さに、ほんとにこの道が下界まで続いているのか心配になる。途中大規模なダム工事が行われ、それに伴って一部道がよくなって来てはいるが、なかなか険しい道だ。
 
 一方県道をそのまま井川ダムの堰堤を渡り、大日峠や富士見峠を越えて安部川に出るルートはまだ無難ではあるが、安部川までは延々細い道が続く。こちらは路線バスも通っており、一度乗ったことがあるが、車窓の風景は目まぐるしく流れ、車体は右に左に大きく傾き、随分楽しい思いをした覚えがある。
<制作 1997. 6.20> <修正 2001. 3.37>
 


 
 峠名について

 井川雨畑林道は比較的最近通じたものらしく、一般の道路地図には峠名どころか道すら記入されていませんでした。そこで、登山地図(日地出版、南アルプス南部)を買って調べてみると、車道ではなく登山道が記されており、峠名は「大笹」となっていました。その登山道の峠は現在の車道の峠と場所がほぼ一致していた為、この「峠と旅」ではこれまで「大笹峠」と呼んでいました。
 ところが最近のツーリングマップル(中部編1997年3月昭文社)を調べてみると、車道が記入されていて、峠名は「山伏」となっています。峠の近くに山伏岳があり、如何にももっともらしい名前です。どちらが正しいか分かりませんが、これからは両方の名前を併記します。

<更新 1998. 5.17>
 
 その後メールを頂いて教えてもらったところ、山伏岳の山頂に案内板があり、それには峠の名前が「大笹峠」とでていたそうです。
 一方、雨畑湖畔の体育館などの施設があるそばに、「森林とのふれあい環境整備対策事業施設総合案内図」という看板が立っています。その看板の写真を古いアルバムの中から発見し、虫メガネでよくよく見ると、井川雨畑林道のところに「山伏峠へ至る」と書かれてありました。
 大笹という峠があったことは間違いないようですが、車道が通じてからは山伏峠と呼んでいるようです。
 尚、山伏は「やんぶし」と読むことも、メールで教えていただきました。
<更新 2001. 4. 1>
 
 

以下は電子メールで頂いた情報です。
 楽しいHPですね。私の旅のスタイルと似ているので共感できる部分が多く、また「なるほど」と参考にする事も多く、時々寄らせていただいておりました。今までメール送ろうと思いつつもなかなか機会がありませんでしたが、初めてメールさせていただきます。

 5月1日(1998年)に井川雨畑林道へ行ってきました。早川町側入り口には当分の間通行止めの表示が出てたにもかかわらず中へ。新緑の美しい渓谷を進みますが、長畑という山梨側最後の集落の先で本当に通行止めになっていました。その少し手前では、よくあることですが「なんで林道にこんな立派なトンネルが?」という感じのトンネルが完成間近でした。工事をしていた人の話ではこの冬の間にまた崩れたとの事で、無理にゲートの先へ行っても崩落区間はまず通過できないそうなので、あきらめて県道へ戻りました。

 梅ヶ島へ抜ける安倍峠も5月20日まで冬期通行止だったので清水、静岡まわりで途中で安倍川の河原で野宿しながら井川へ。今回はさらに奥の秘湯、赤石温泉へも行ってきました。井川雨畑林道はとても好きな峠道の一つなんですがこのところ2連敗(通過できない)しています。

 これからも旅を楽しんでください。またレポート送ります。

 村井さん有り難う御座いました。

<追加 1998. 5.17>
 
 峠と旅のホームページ、興味深く拝見しています。

 私も旅行が好きで、よくドライブに出かけています。必ずしも、峠が目的というわけではないですが、人の少ないうらさびしいところによく行くので、自然と山奥の峠に行くようになってしまいました。ホームページに載っている峠も3分の1ぐらいは訪れたことがあると思います。

 さて、本題ですが、先日井川雨畑林道に行って来ましたので、その時の情報を提供します。5月30日(1998年)に通りましたが、全線問題なく通れました。私は静岡県側から辿りましたが、峠まで完全に舗装され、いい道になっています。所々落石がありましたが、通行には全く支障はありませんでした。

 大笹峠(山伏峠)から山伏岳にも上ってきました。峠から20分くらいで登ることができます。最近になって整備されたようで、頂上には立派な木道があり、登り口には杖までおいてありました。私が登ったときには誰もいなかったのですが、大谷崩の方から外国人のパーティが登ってきたのには驚きました。

 峠から山梨県側はかなり荒れた道ですが、私のセダン(ブルーバード)でも通ることができました。以前この道を訪れたときは、長畑の先で新しいトンネルを掘っていて通行止めだったのですが、今回は通ることができました。新しいトンネルはまだ通れませんでしたが、ほとんど完成していたので、もう通れるようになっていると思います。

 ところで、峠の名前ですが、「峠の村へ」という本の中では山伏峠という名前で紹介されています(実はこの峠の存在を知ったのはこの本が最初でした)。ちなみにこの本には石榑峠なども紹介されていて、なかなか面白い本です。個人的には舗装されていようがダートであろうがどちらでもいいのですが、静かな峠道がずっと残ってくれるとうれしいです。

 あまりまとまりのない文章ですみません。これからも趣深い峠を紹介していってください。

 なんとあの井川林道が舗装されてしまったのですか。あれほど険しい山岳道路はそう簡単に舗装などされないと、高をくくっていました。世の中は変わってゆきますね
 須藤さん有り難う御座いました。

<追加 1998. 6.14>
 
 結論から申しますと、井川雨畑林道は、2000年10月15日現在、全線通行できました。
 わたしは、山梨側から林道へ乗り入れたんですが、山梨側は峠の方から舗装が始まっていて、2000年10月17日から3日間通行できないそうです。静岡側は、全線舗装されていたんですが、所々崩れていましたが、通行には支障ありませんでした。ちょっと、セダンやワゴンでは厳しいかなって思いましたけど、けっこう登って来ました。
 次は、安部峠に臨んでみたいと思っています。
 
 石井さんありがとうございました。
 ちなみに今年の4月に私が出かけたときは、山伏峠も安倍峠も通行止でした。
<追加 2000.10.15>
   
第2話(画像集 掲載 2001. 4.15)   第3話(最終話 掲載 2017.10. 1)
   

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