サラリーマンのちょっと一言
 
車の乗り換え顛末記(その1) ジムニー絶不調
 <掲載 2002. 6.27>
 
 去年の9月に我が愛車のジムニーは満10歳を迎えた。これが人間ならまだまだ幼い子供であるが、車となるともうヨボヨボのおじいさんといったところか。走行距離も14万キロで10年目の車検を通すかどうかでかなり迷った。日本の狭い林道走行にこれほど適した車は他に見当たらない。高速道路を走ってもニ輪車と同じ低料金。それに軽貨物の分類で4ナンバーときている。毎年払う軽自動車税はたったの4,000円だ。結局車検を通してもう2年、日本の険しい道を走り回る事とした。
 
 近所の自動車工場に車検を依頼したところ、右前輪のナックル部分からデファレンシャルギヤのオイル漏れがあるとのこと。以前は確か左から漏れたことがある。またかと思ったが、仕方無しに修理してもらうこととした。お金が掛かるのは気がきでない。
 
 それで車検は無事に通ったが、その直後からエンジンがおかしくなった。それは以前にもあった持病の様なもので、走り出しや雨の日など、アクセルを踏み込んで過吸気圧が高くなり、ターボのインジケータが点灯するくらいになると、途端にエンジンの吹けが悪くなる現象だ。アクセルペダルを戻すとかえって加速する時もあり、走行が非常に厄介になる。対処療法はエンジン回転を常に高めにすることだ。4,000回転近くまで回し、ギヤチェンジしても3,000回転を下回らないように運転するのだ。やや燃費が悪くなるがそれで走るには何のも問題ない。
 
 その後、ある日の夜の会社帰りに信号待ちしていると、前に止まった車にジムニーのヘッドライトが写っているのだが、右側のライトが点灯していないようなのだ。夜の走行に片目では危険である。整備不良はドライバーとしては許されないことだ。しかし、それ程大変なこととはまだ気付いていなかった。これまでオートバイのヘッドライトの電球などはよく交換していた。車の場合もオートバックスなどで安い電球を買って、自分で付け替えればいいだけのことだと思った。
 家に戻って調べてみると、確かに右のヘッドライトのローが点かない。ならば電球の種類はとライトを開けようとしたが、どこにも開ける所がないではないか。何とあのヘッドライトは丸々一つのガラス電球のように、一体物だったのだ。そんなジムニーのヘッドライトがオートバックスなどで売っている訳もないだろうし、一体いくらするか分かったものじゃない。恐々スズキのディーラに行くと、何と7,900円もするではないか。

 バイクのヘッドライトの電球なら一個640円である。それさえもそう簡単には交換しない。我バイクAX−1は目玉の様にヘッドライトが2個ある。片方切れても車ではないから、直ぐに交換しなくていい(私見ではあるが)。それに一度切れた電球も、そのまま付けて走っていると、振動などでまたフィラメントが繋がるらしく、何時の間にかまた点灯しているのだ。だから、そう簡単には新品と交換しない。
 それが、ジムニーでは7,900円かかるとは、絶句である。しかし、保安部品とあらば、付けない訳にはいかない。渋々注文して入手した。メンテナンスマニュアルを持っているのだが、どこを探してもヘッドライトの交換方法が記述されていないのには頭にきた。やっとラジエーターの前に位置するパネルを外せばいいことが分かり、その後の交換は楽であった。

 そうこうしている内にも、エンジンの具合は益々悪くなっていく。燃費を調べてみるとリッター9Kmしか走ってない。2,000ccの3ナンバー車じゃないんだから、マニュアルの軽自動車でこの燃費はひど過ぎる。以前なら朝晩の通勤で使っていてもリッター13Kmは走っていたのに、これでは排気パイプからお金を撒き散らしながら走っているのも同然である。
 過去にこのエンジン不調を自動車修理工場に見てもらったことがあるが原因が分からなかった。但し、対処療法だけは自分で発見して分かっている。スパークプラグを全て新品に換えることだ。このジムニーは自分が老いぼれのくせに、プラグだけは常に新品を好むのである。前回交換してからまだ1年しか経っていない。それでもプラグ交換すればこのエンジン不調は直るだろうという感触があった。

 プラグ代と燃費の悪さ。いろいろ比較検討したがやはりプラグを交換した方が得策と判断した。どうせ同じ物を買うならなるべく安くと何件もの店を調べ、やっとプラグ1本380円で売っている所を見つけた。ジムニーは3気筒だからプラグ3本で合計1,140円(税別)の投資となった。
 ジムニーのプラグ交換は非常にやり難い。車載工具ではまず無理だ。その為、プラグ交換の専用工具まで買ってある。これまでもいろいろお金がかかっているのだ。てこずりながらも古いプラグを外してみると、焼け方も好ましいねずみ色で、ギャップの広さも問題ない。走行距離にしてまだ5,000Km程度しか走ってないのだから、まだまだ使えていいはずである。それでも新品に交換すると、見事にジムニーのエンジンは回復した。

 しかし、それだけでは終わらなかった。更に追い討ちをかける様に、ミッションから異音が出始めたのだ。最初は3速に入れてエンジンブレークをかける時に床下のミッション付近から音が始まった。その音はシフトノブを手で押さえていると止まる。対処療法が分かれば当面それを採用するのだが、その内加速時にも音が出だした。やたらとシフトノブを押さえなければならない運転を強いられることとなった。

 車の下に潜り込むんで調べてみると、ミッションの下がオイルでにじんでいた。これまでこの部分は乾燥した土で汚れていたが、オイルがにじんだことはこれまでなかったことだ。やっぱりミッションが原因らしい。
 異音は3速以外に更に5速にも飛び火した。もうシフトノブを押さえるだけでは効果がない。日ごとに大きくなる音に恐れをなし、さすがに自分ではどうすることもできずにまた近所の修理屋に駆け込んだ。ミッションをばらしてギヤやベアリングを2、3個交換すればいいのかと聞いたら、そう簡単なものでもないとのこと。手間賃を考えると、最初からミッションアッセイをまるまる交換した方がいいらしい。中古のミッションアッセイが手に入れば少しは安くなるが、どちらにしろかなりの出費になるようだ。結局その時はミッションオイルを交換して様子を見ることとした。オイル交換代5,300円。しかし、そんなものは何の効果もなかった。
 
 遂に、まともなのは4速のみとなった。2速で発進・加速し、直ぐに4速に入れ、その後4速をキープする。70Km出そうが80Kmで走ろうが、常に4速のままである。エンジンブレーキはかけずにフットブレーキで減速・停止する。かつてあの有名なF1レーサーのアイルトン・セナが、レース終盤にギヤが壊れ残ったギヤだけで車を操り優勝したことがある。その心境なのである。
 しかし、レースならゴールという終りがあるが、こちらには自分で決めない限り終りがこない。今年(2002年)の3月初旬、遂に決断となった。新車を買うぞ!!!

 それにしても、車検を通してまだ半年も経っていないのだ。冬どきなので履き替えてあったスタッドレスタイヤを見ると、まだまだ雪道を走れるものである。倉庫にしまってあるノーマルタイヤの方も後数万キロは走れそうな寿命を残している。タイヤチェーンもまだ2,3回しか使ったことがなく、新品同様である。交換しようと思ってちょっと前に買っておいたオイルフィルタや、1セットまるまるそろえてあるファンベルトも封を開けることなく無駄になる運命となった。何てタイミングの悪い乗り換えなんだろう・・・。

 
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