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姫待峠
 
ひめまち とうげ

 初掲載 2000. 7. 2 「今月の峠 2000年7月」として

 
姫待峠
姫待峠 (1992年 7月20日撮影)
 
 「姫待」などとロマンチックな優しそうな名前の峠だが、実態は未舗装林道の険しい道だった。ただし行く前には、峠の名前も、舗装か未舗装かも何も分からなかった。唯一の頼りであるツーリングマップには、姫川林道とだけ書かれてあった。

 北海道は最初、オートバイでその輪郭を主に走り回っていた。輪郭とは海岸沿いということだ。有り触れた観光旅行を卒業し、バイクなどを使って自力で日本国内の旅を始めると、何となくまず輪郭を走りたくなる。輪郭を一周なぞれば、それでその地方を制覇したような気になるからだろう。北海道も何度かのバイク旅で輪郭をほぼ完了した。ちょうどその頃にジムニーを買い、ジムニー最初の北海道は、今度は内陸を制覇することにした。
 ツーリングマップで内陸を通る険しそうな道を物色する。道南の八雲町と乙部町とを何だか楽しそうな峠道が繋いでいた。峠の前後は姫川林道とあるので、詰まらない道々などではなさそうだ。さっそく乙部町の烏山という所より国道229号から別れる。最初は道々4061号(最近の道路地図では1061号)烏山旭岱(あさひだい)線の舗装路。それも旭岱で左に町道千岱野10号線が分岐した先で未舗装路が現れた。道幅も急に狭くなる。林道標識は見当たらないが、これが姫川林道だろうか。道路脇には「ヒグマに注意」の看板も立つ。いよいよ期待の峠道だ。
 林道になってから直ぐに姫川に沿う道となり、ぐんぐん峠を目指す。周囲は鬱蒼とした森。北海道の山深さは、どことなく恐怖感がある。
 それまでの道に比べ、着いた姫待峠は開けた感じのする峠だった。「姫待峠」と大書された乙部営林署の看板が、峠の名前を教えてくれた。峠からは道南レーダ専用道路が分岐する。舗装済みだが、立入禁止である。
 八雲町側の道は、最近のツーリングマップルでは「廃道状態」とか「悪路」と書かれている。しかし当時はそれ程でもなかった。今思い出しても、そこまで険しかったという記憶は全くない。しかし、飲み込まれそうな山深さを感じる道ではあった。

 今では北海道の内陸もほぼ走り終えて、まだどこかに険しい道が残ってないかと見付けるのに苦労するようになってしまった。仕方がないから、以前越えた峠道をまた訪れてみることにする。姫待峠は今も未舗装の峠道のままであろうか。

 
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