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日本三大   No.13
   
標高三大峠
   
(掲載 2011.10. 6、修正 2017.10.20、追加修正 2022. 4.19)
   
峠名
所在地
道路名
寸 評
大弛峠
山梨県山梨市
長野県川上村(旧牧丘町)
川上牧丘林道
 峠の標高は2,360mで、貫禄の第1位。
渋峠
群馬県中之条町(旧六合村)
長野県山ノ内町高山村
国道292号
志賀草津道路
 峠で2,152m、道の最高所で2,170.9m(修正 2020. 7.18)。国道では文句なく第1位。
麦草峠
長野県
佐久穂町・茅野市
国道299号
 峠で2,120m、道の最高所で2,127m。国道の第2位。
   

<高い峠>
 単純に、高い峠はどこだろうと思う。標高と言うスカラー量で一義に順位は決まる。スポーツなども単純な数値の競い合いは、分り易くて良い。 その点、フィギュアスケートなどは、どうも性に合わない。スキーのジャンプも、飛んだ距離だけならいいが、飛形点などと言われると、戸惑ってしまう。

 峠も主観によらない標高の順位なら、はっきり三大峠を選べる筈だ。しかし、どこが一番高い峠かとなると、意外にこれまで調べたことがなかった。
 
<車道の峠>
 高い峠を調べる前に、まず、条件がある。峠ならどこでもいいという訳ではない。この「峠と旅」では、歩くのが苦手である。 よってバイクや車で行ける峠に限らせてもらう。すなわち「車道の峠」と言うことになる。

   

<上位3峠>
 直ぐに思い浮かべるのは大弛峠だ。標高2,360m。これは高い。しかし一番だかどうだか、これまで調べたことがなかった。
 
 国道では渋峠が一番であることが知られている。峠で2,152m、群馬県側に道の最高所あり、そこで2,170.9mとなる(地形図より)。 次いで麦草峠が、道の最高所で2,127m、峠でも2,120mとなっている。ただ、国道の3番目と言うのは、とんと聞いたことがない。

   

 他の峠を少し探してみる。
 
 まず、大弛峠のある山梨県と長野県の県境付近には、大弛峠の道以外に車道が通じていない。
 渋峠の近辺では、 仮称:笠ヶ岳峠(1,900m超え)、 万座峠(約1,830m)、 毛無峠(1,823m)などがあるが、2,000mを越える峠はなさそうだ。
 
 尚、渋峠の国道を群馬県側に少し下ると、山田峠と言うのが約2,050mである。山田峠はやはり群馬と長野の県境の峠だと思うが、道は山田峠をかすめているだけで、稜線を越えていない。 山田峠は車で行ける峠かもしれないが、ちょっとランキングには含めたくない気がする。
 
 麦草峠が通る八ヶ岳では、麦草峠の北に大河原峠(おおがわら)があり、この峠は2,093mと、2,000mを越えるなかなかのものだ。 しかし、峠道がちょっと良くない。車道が完全に峠を越える形をしていないのだ。車で登れる峠だが、車道の峠と言い切ってよいか、やや疑問が残る。
 
 少し目を転じて、北アルプスを越える峠を見てみると、 安房峠(あぼう)が1,790m、 野麦峠(のむぎ)が1、672mで、意外と低く、到底2,000mには及ばない。
 
 木曽山脈を越える権兵衛峠(ごんべえ)になると、峠で約1,540m、道の最高所で1,590mと、やや格が落ちる。
 
 中央道の恵那山トンネルの上を越える神坂峠(みさか)などは高いかと思ったが、1,569mである。
 
 それでは、日本第二の高峰・北岳がある南アルプスで調べると、南アルプス林道が通る北沢峠がある。2,030mだ。ただ、ここは一般車通行止である。
 
<トンネルの峠>
 トンネルで越える峠で探すと、群馬から栃木の日光に抜ける金精峠トンネルが坑口標高1,850m前後あるようだ。 テレビニュースで毎年春に金精峠トンネルが開通したと報道するのを良く目にする。ここは国道の峠である。

   

<結果>
 これまでの所、大弛峠、渋峠、麦草峠がトップ3となるようだ。どうも、予想通りの結果で、あまり面白くない。
 
 4位以下は、大河原峠や山田峠は車道の峠とは言い難く、北沢峠なら完全に峠越えの林道で、その点文句はないが、マイカー禁止が玉にキズ。 どうも4位以下は混沌としているのであった。
 
<国道の峠>
 国道でみると、渋峠、麦草峠で、その次に山田峠を入れるには抵抗がある。山田峠は飛ばして、金精峠トンネルが意外と3位なのかもしれない。 (やはり3位でした 2014. 3. 6 金精峠

   
  
   

<富士山(余談)>
 余談だが、峠に限らず、車で行ける高所では、まず富士山が思い浮かぶ。 山梨県側の富士スバルラインの終点の五合目で2,304m。静岡県側の富士スカイラインの終点、新五合目で約2,380m。さすがに高い。 でも、大弛峠(2,360m)がほぼ同等の標高なので、改めて凄い峠だと思う。
 
<畳平(余談)>
 ところで、安房峠と野麦峠の中間を乗鞍エコーライン・スカイラインが通っている。安房峠・野麦峠などと同じく、長野と岐阜の県境を越える道だ。この最高所が2,715mである。 かつてはマイカーで行ける最高所だったが、今は一般車輌通行止となっている。
 この道の存在が厄介だ。地形図などを見る限り、如何にも県境越えの峠道のように思えるのだが、誰も県境部分を「峠」とは呼ばない。勿論名前もない。 この道が開削された経緯などを考えると、峠道とは言い難い部分があるが、それをはっきり説明できない。
 参考まで→(畳平 掲載 2017.10.20)

   

<追記>
 うっかり車坂峠を忘れていた。
 また、鉢盛峠もなかなか高かった。(掲載 2022. 4.17)
 以下の表では思い付いた高い峠などを簡単に列記してみた。
(標高の数値に関しては、諸説あり)

   
峠名
峠の標高
道の最高所
備考
畳平
(2,715m)
同左
 峠とは呼ばないが、車で行けた最高所
 今は一般車両通行止
富士スカイライン終点
(約2,380m)
 
 そもそも峠ではない
大弛峠
2,360m
同左
 車道の峠第1位
富士スバルライン終点
(2,304m)
 
 そもそも峠ではない
渋峠
2,152m
2,172m
2,170.9m
2,170.6m
 国道第1位、道の最高所については諸説
麦草峠
2,120m
2,127m
 国道第2位
大河原峠
2,093m
同左
 正確には車道が越えていない
山田峠
2,050m
同左
 正確には車道が越えていない
北沢峠
2,030m
同左
 一般車両通行止
車坂峠
1,973m
同左
 標高が高い割には、快適な道が通じる
笠ヶ岳峠(仮称)
約1,905m
同左
 正式な峠名がない
鉢盛峠
(追加 2022. 4.17)
1,860m
同左
 名がある峠としては第5位ぐらいに入るが、
 通行止
金精峠(トンネル)
1,843m
1,840m
同左
 国道第3位、標高は栃木県側トンネル坑口
 群馬県側は地形図で1,855m位ありそう
万座峠
約1,830m
同左
 通行止
毛無峠
約1,823m
同左
 車道が完全には通じていない
安房峠
1,790m
同左
 安房トンネルの旧道
濁河峠
(追加 2022.10.10
1,760m
同左
 御嶽山北西麓の峠
柳蘭峠
(追加 2022.10.10)
1,697m
同左
 御嶽山北西麓の峠
月夜沢峠
約1,690m
同左
 険しい林道の峠
野麦峠
1,672m
同左
 歴史ある峠
神坂峠
1,569m
同左
 片側通行止
権兵衛峠
1,540m
1,590m
 権兵衛トンネルの旧道
   
   
   

参考写真

   

大弛峠 (撮影 1991. 9.23)
稜線方向に見る
左が山梨県、右が長野県

峠にあった看板より (撮影 1991. 9.23)
「標高 2360M」
   

まだ雪が残る渋峠 (撮影 2010. 5. 5)
群馬県側から見る

地形図より転記
峠は2152m、最高点は2170.9m
   

麦草峠 (撮影 2006. 8.20)
茅野市側から見る

峠に立つ看板 (撮影 2006. 8.20)
「麦草峠 2,127m」とあるが、峠の標高は地形図では2120m
   

麦草峠の道の最高地点 (撮影 1998.11.14)
茅野市方向に見る

最高地点を示す看板 (撮影 1998.11.14)
「標高 2127m」
   

大河原峠 (撮影 2012. 8. 1)

峠の碑 (撮影 2012. 8. 1)
「標高 2,093m」
   

北沢峠 (撮影 2015.10.12)

峠の標柱 (撮影 2015.10.12)
「標高 二〇三二・〇米」 (2032m)
   

車坂峠 (撮影 1999. 7.25)
小諸市側から見る

峠の標柱 (撮影 2015. 9.15)
「標高 1973m」
   

仮称:笠ヶ岳峠 (撮影 1999. 7.25)

地形図より転記
標高は1900mを超えていそうだ
   

鉢盛峠に立つ看板 (撮影 1992. 9. 6)

「標高 1860m」 (撮影 1992. 9. 6)
   

金精峠(トンネル)の日光市側 (撮影 1999. 7.25)

峠の標柱 (撮影 2015. 9.15)
「海抜 一、八四三米」 (1,843m)
   

長野県側から見る万座峠 (撮影 2004. 8.11)

地形図より転記
標高は1830m付近
   

毛無峠 (撮影 2004. 8.11)

峠の看板 (撮影 2004. 8.11)
「毛無峠 一、八二三米」 (1823m)
   
  
   

ご注意
 標高は一般の道路地図や現地にあった看板、国土地理院の地図閲覧サービス2万5千分1地形図など、複数の資料を参考にしていますので、大きな間違いはないと思いますが、正確な値を保証するものではありません。 また、峠以外に道の途中に最高所があったり、道路の改修などで標高が変わる可能性もあり、こうした理由から必ずしも標高が一つに定まらない場合もあります。これらの点をご了解下さい。

<1997〜2020 Copyright 蓑上誠一>
   
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