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![]() 水呑峠 宮川村側トンネル入口 |
トンネルで越えてしまう峠など味気ない。峠たるもの正々堂々と空の下を越えてほしいものだ。だからこのホームページにはトンネルのある峠は差別して、なるべく選ばないようにしている。しかしどうしても例外が出て来る。肝心な所が真っ暗な洞穴でも、その前後の峠道が良くて、無視してほっとく訳にはいかない峠がある。この水呑(みずのみ)峠ものそ一つである。 |
と言うのは、国土地理院発行2万5千分の1の地図で見ると、この車道のトンネルの峠の直ぐ北側に、水呑峠と書かれた幅員1.5m未満の山道の峠がある。多分そちらが元祖であろう。しかもその道は紀伊長島町側で車道とは全く違ったコースをとる。車道は一旦紀伊長島町に入るが、間もなく菅ノ峠(走っていても何処がその峠かよく分からない)を越えて海山町の大河内川沿いを下る道となる。一方その山道は紀伊長島町をそのまま三戸川沿いの道へと繋がっている。これだけコースが違っているのに同じ峠名で呼ぶのは、元祖の峠に対して申し訳ないと思うのだ。 |
この峠道がいいのは、ひとつには森林の村、宮川の奥深く佇む宮川貯水池と太平洋の熊野灘に面した海山町を繋ぐ峠であることだ。海と山を結ぶというのは、峠としてその意味が深い。 |
![]() 宮川村イラストマップ |
国道と名前は変わっても宮川ダムに通じるその道は徐々に山深さを増す。交通量も格段に減って寂しい道と変わり、反対に気持ちはわくわくしてくる(異常性格か?)。しかも宮川ダムの先には峠越えが待っているのだからこたえられない。 |
![]() 宮川ダム |
国道422号はダムに着く手前の大杉谷で宮川を渡って桧原谷川沿いの道となり、その先まだ車道はないが、池坂越あたりで紀伊長島町へ抜ける魂胆のようだ。しかし工事が進んでいる気配はない。地元の方には悪いが、役人の頭の中にある空想のままであって欲しい。そうすれば水呑峠の魅力が長続きする。 |
日頃の行いがいいので天候に恵まれ、ダムにより作られた宮川貯水池は穏やかな様相を漂わせていた。しかしここは有名な多雨地帯のど真ん中。天候が天候だと大変なことになるのだろう。今までの旅で2、3度、東京では想像もできない猛烈な集中豪雨に出くわしたことがある。車のワイパーなど何の役に立もたなかった。そんなことがここでも起こるのだろう。 |
![]() 「望郷」の碑と宮川貯水池 |
道はしばし寂しい湖岸を走る。こんな所にと思う場所に茶店がある。営業中だ。他人事ながら商売がやっていけるのか心配になる。 |
![]() 峠より宮川村方面を望む 秋11月 |
道は貯水池の上流、桑木谷を溯るようになり、立ちはだかる山並みにへばりつく様なつづら折りが現われ、本格的な峠の上りが始まる。 |
![]() 紀伊長島町側峠直下の景色 3月 |
見渡す景色は山また山であるが、その先は何となく海が近い雰囲気がする。 |
![]() 県道大杉谷海山線海山町側途中 この先には熊野灘 |
全線舗装済みで、一般の乗用車で問題なし。ただし宮川貯水池沿いのトンネル付近の落石が気に掛かる。