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小代越
 
おしろごえ
(おしろこえ、おじろこえ、おじろごえ)
 
「普通車以上通行困難」の標識がある峠道
  
    
 
小代越
小代越 奥が兵庫県美方町
 中国地方には峠が少なく、特に未舗装の峠となるとめぼしいものは今ではほとんどない。この小代越(おしろごえ)は辛うじて峠の切り通しが未舗装のままだ。 

 小代越は鳥取県若桜(わかさ)町と兵庫県美方町との県境にある。氷ノ山(1510m)に連なる稜線上の、標高960mの峠だ。若桜町側は今では立派な国道となっているが、峠より美方町側は桑ヶ仙林道(あるいは町道岩小屋線?)の未舗装が僅かに辛うじて残る。 

 
茗荷谷
鳥取県若桜町側 左に茗荷谷を分岐
茗荷谷の集落
茗荷谷集落を望む
 
 国道29号を若桜町で峠に通じる国道482号に分け入る。最初国道482号は舂米(つくよね)川に沿う2車線の走り良い道だ。入口から5Km程で右に茗荷谷(みょうがだに)ダム、さらに左に茗荷谷集落への分岐がある。その分岐にそびえ立つ、地元の人にとっては分かりきった内容の大きな道標に、直進が国道482号氷ノ山、舂米とある。この先には氷ノ山スキー場があり、季節ともなればスキー客がこの標識を確認しながら通う道なのであろう。
 
 川を挟んで国道の反対側に茗荷谷集落がひっそり佇む。みょうがと言う名前とその小さな集落がよく似合っている。旅の途中にたびたび見掛けるこうした山間の小さな集落の生活とはどんなものなのか、一度経験したいとよく思う。 
 
 さらに進むと国道は右に分岐する。そこに「県境より先普通車以上通行困難」の道標が立っていて、ちょっとおどかされる。普通車以上とは普通車も入るのであろうか。どんな車なら走れるのか曖昧である。何にしろその困難な道とはどんなものなのか楽しみだ。 

 右折より本格的な上りが始まり、川筋の谷底をはなれて展望が広がる。 

峠は右折
国道は右に分岐 通行困難の道標 
  
峠の標識
峠にある標識
峠からの眺め
峠よりの眺め
 景色を楽しみながら峠に着く。舗装が途絶え、土の道の切り通しで、何となく安心させられる峠である。手前の左に進入できない林道が分岐している。
 
 峠にある標識には今度は「悪路のため車輌通行困難」とあり、普通車以上という限定がなくなっていた。困難と警告してはいても強制的に通行止にしないのがいい。このように通る者の判断に任せるのが大人だと思う。
 
 標識はまた「国道は県境まで」だとことわっている。兵庫県側は秋岡に通じる町道岩小屋線とある。手持ちの地図には林道の名が記されているのだが。 
 
小代渓谷付近
小代渓谷付近 舗装路になる
新屋分岐
右に新屋の分岐 国道表示が再び現われた
 
 その通行困難の道はなるほど荒れていた。しかし谷はそれ程切り立って深くなく、危険を感じることはなかった。ただただガタガタ揺れる悪路に堪え忍べばいいのだ。どの程度の悪路かは各自で体験してもらうということにする。説明しても写真を載せてもなかなか分からないものだし。未舗装区間はそれ程長くなく、早くしないと単なる一本の国道になって、峠の魅力も消え失せてしまう。
 
 美方町の矢田川沿いを走る頃には狭いながらも舗装路となる。峠の小代越という名は美方町に残る小代の地名に由来する。矢田川のこの付近は小代(おじろ)渓谷とも呼ばれ、ちょっとした景勝地でもある。
 
 その先舗装路は道幅を広げ、右に新屋への県道270号の分岐を示す道標には国道482号表示が再び現われた。通行困難と言われる僅かな未舗装を残すこの峠道も、もう10年前に通っていたらもっと味わいのある峠道だっただろう。 
 
    
 
 峠道状況(1997年4月)
 
 峠より美方町の数Kmが確かに普通乗用車にはきついかもしれない。しかしそこさえ越してしまえば越えられる峠道だ。国道482号はあちこちで侵食を続けている。この峠の賞味期限も短いかも知しれませんので、お早めに。  
 
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