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美幌峠
 
びほろ とうげ
 
日本屈指の絶景が眺められる峠

 
美幌峠 (撮影 2000. 8.16)
右手前が北海道弟子屈町、奧が美幌町
展望所への長い階段途中より撮影
北海道らしく、雄大な峠だ
 

弟子屈町側からの峠への上り
高い木々がほとんどなく視界がいい
 弟子屈町からの峠への上りは、ゆったりしたS坂の道である。国道243号は屈斜路湖の湖岸近くでは林に囲まれているが、少し高度を上げると背の高い木々は育たないらしく、視界をさえぎる物はほとんどない。北海道らしく、雄大な峠道だ。快適な2車線路を走れば、程なくして前方に峠らしい所が見えてくる。

 峠の標高は525mと高くないが、峠周辺にも樹木がほとんどない為、本州に見られる林に囲まれた狭い切り通しの峠などとは全く異なる。峠の様相も如何にも北海道らしい。行ったことはないのだが、アジア大陸などの豪快な峠などと、雰囲気が似ているのではないだろうか。北海道は大陸の香りがする。

 
 美幌峠はこのホームページ「峠と旅」で「絶景三大峠」に選んでいる。その絶景ゆえに北海道の中でも有名な観光スポットのひとつである。残念ながら北海道は観光最盛期の夏場にしか訪れたことがないので、美幌峠も他の観光地と同様、観光客でいっぱいだ。峠に設けられている大きな駐車場も、ほとんど車で埋まっていて、空きスペースを探さなければならない程だ。

 駐車場に隣接して土産物屋が並び、その前にウヨウヨ居る観光客をすり抜け、歩いて展望所に向かう。広い峠には美空ひばりの歌が流れていた。岬や灯台などの観光地では、よく歌が流れていることがある。しかし、峠で歌が流れているのは、この美幌峠くらいなものだろうか。
 美幌町による歌の石碑も平成2年に建てられていた。それによると歌の題名はズバリ「美幌峠」(聞いたことがない)。文句には「ああ さいはての 美幌峠・・・」と再三出てくるが、観光客で賑わう峠のどこにも、「さいはて」はなかった。

 
 こうしてわざわざ人が多く集まるような所にやって来るのは、私の旅としてはちょっと例外的なことである。しかし、それ程峠からの展望は一見の価値がある。ややくの字に曲がった屈斜路湖を真正面に、その中心には中島がぽっかり浮かび、景色のバランスがとてもいい。暫くじっくり眺めていたい風景である。

 でも、パノラマ写真を撮ろうとすると、周囲の観光客が邪魔で仕方がない。さっきから小さな子供たちが景色を眺める訳でもないのに、柵に寄りかかって遊んでいる。フレームの中に入ってしまい、なかなかシャッターが切れない。いらいらさせられる。やっぱり、人間は苦手である。


峠の標柱と弟子屈町側の風景
 
屈斜路湖の眺め
(苦労して撮ったパノラマ写真)
 
 屈斜路湖の展望といえば、美幌峠の西に位置する津別峠から車で少し登った所にある展望所からも、いい眺めが得られる。ただ、美幌峠は視界が広く湖をほぼ真正面に見られるのに対し、津別峠展望所からはやや視界が狭く、湖も少し斜めである。その点やはり美幌峠の方が格が上だ。
 それでも以前は津別峠など訪れる観光客は少なく、落ち着いて眺められる穴場的な存在だった。ところが最近、立派な展望台が作られ、展望所までの道も舗装されてしまった。私としては、津別峠の価値が少し下がってしまったような気がする。

 昔の有名な日本映画「君の名は」の続編で、美幌峠のことが紹介されていると聞いたことがある。その影響で美幌峠が観光地として全国に知れ渡ったとも言われているそうな。私は古い日本映画が大好きで、テレビやビデオなどで機会があるといろいろ見ているのだが、残念ながら「君の名は」は鑑賞したことがない。確か佐田啓二(漢字はこれでよかったっけ?)が主演男優だったと思う。主演女優は高峰秀子だったかな?(これはかなりあやしい)。今度、レンタルビデオ屋で探してみようと思う。

 眺めを堪能さえすれば、峠周辺をのんびり散策するような趣などは美幌峠にはない。トレッキングまがいに丘陵を登って行く道がつけられているが、ちょっと峠に寄っただけの者が歩くような容易なコースではなさそうだ。さりとて一般の観光客のように、土産物屋に寄る積りもない。さっさと人込みから逃れることとする。
 そのうち是非、冬の北海道を旅してみたいと思う。きっとそこには「さいはての美幌峠」が待っていることだろう。
 

<制作 2001. 6.28>
 

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