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寒風山峠
 
かんぷうざん とうげ
 
四国の瀬戸内海と太平洋を最短路で結ぶ峠道

 
寒風山峠 (撮影 1995. 1. 3)
見えているのは寒風山隧道の高知県本川村側坑口
この反対側は愛媛県西条市になる
道は国道194号
 

高知県側から峠方面を望む
 今年の東京周辺は、雨らしい雨もほとんど降ることがないまま、あっさり梅雨が明けてしまった。この先の水不足が心配される。それに連日猛暑が続き、このまま8月の真夏本番に突入する勢いだ。会社のクーラーは節電の為、温度設定は高めである。デスクにじっと座っていても、じんわり汗ばんでくるしまつ。家でも毎日寝苦しい夜が続いている。こんな時は、せめて冬の峠を思い出し、気分だけは涼しくいこうと思う。

 6年前の真冬の1月3日に、どういう経緯だったか全く覚えていないが、高知県本川村より国道194号で、寒風山峠に向かうことにした。国道といっても狭い所ではほぼ1.5車分の道幅しかなく、通り掛かる車もほとんどない寂しい道だ。周囲の山には雪がちらほら見られるが、幸いなことに路面に積雪はない。念のためスタッドレスを履いてきているが、このまま雪道にならなければいいが。

 
 「寒風山峠」といっても、現在の国道の峠は寒風山隧道というトンネルが開けられている。切り通しなら峠の所在は少し手前からだいたい見当がつくが、山のドテッ腹に開けられたトンネルだと、いつ坑口が現れるかなかなか分からない。前方にそびえる山を望みながら、峠はどこらへんだろうかと思いながら進む。
 途中より、左手の谷を挟んだ山肌に道筋が見え始めた。あそこも通るのだろうか。

 「寒風」という名前からして如何にも寒そうである。その名のとおり、到着した峠の駐車場には、片隅に雪が累々と掃き溜められていた。生憎の雨模様の天気で、強い風が雨粒を吹き付け、車外に長くは居られない。そそくさと写真を撮って、また車内に戻らなければならなかった。


峠の高知県側の駐車場
新しい寒風山トンネルの看板が立っていた
 

峠より高知県側を望む
山肌に見える道筋は瓶ヶ森林道
 峠から高知県側を眺めると、右手の山肌に道筋がうかがえる。登ってくる途中にも見えていた道だ。これは、峠から分岐する瓶ヶ森林道であった。この林道を行くと、ほぼ愛媛県と高知県の県境に沿って、瓶ヶ森から石鎚山方面に出られる。しかし、この時は林道入り口にゲートが設けられていて、入り込めなくなっていた。
 
 
 寒風山隧道は昭和34年に着工され、昭和39年に貫通し、その年の7月19日に完工式が行われたそうだ。隧道途中で30mに渡る大破砕帯に遭遇し、工事は難行したとのこと。しかし、この隧道の貫通により、国道194号の全線開通とあいなった。四国の瀬戸内海と太平洋を結ぶ最短路の峠道である。
 
 その寒風山隧道に代わり、新しいトンネルが造られる予定である。峠にもそれを示す看板が立っていた。現在の隧道は標高1100mの高所にあるが、新寒風山トンネルはそのずっと下を所要時間1/5の10分で通過できることになるらしい。「早くて安全」が売りだが、「寒風山」の名には、ふさわしくなくなってしまうことだろう。
 
 
 峠を愛媛県西条市側に下りると、こちらもなかなか狭い道だ。北側斜面なので雪を心配したが、路面上は全く問題なかった。
 狭い道を下ってくると、急に広い2車線路に出くわした。広い道の行く手は、関係者以外立入禁止。この先で新トンネルの工事が進んでいるのである。

愛媛県側に下りて来たところ
右上の道よりUターンして2車線の新道に合流
 

新道の行く手は工事関係者以外立入禁止
 後日、1997年9月発行のツーリングマップルを買って調べてみたが、新トンネルの影も形もなかった。まだ開通してないのだろうか。着工は昭和55年と聞く。完成すると全長5,432mで、四国一長いトンネルになると看板に書いてあった。

 完新トンネルが成したかどうかは、何かで調べれば分かるのだろうが、どうせ自分の目で見なければ気がすまない性質(たち)である。いつの日かまた寒風山峠も訪れてみよう。
 

<制作 2001. 8. 1>
 
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