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大平峠
  おおだいらとうげ  (峠と旅 No.320)
  霊峰・御嶽山を眼前に望む峠道
  (掲載 2022.10.27  最終峠走行 2001. 5. 1)
   
   
   
大平峠 (撮影 2001. 5. 1)
峠一帯は岐阜県下呂市小坂町落合にある
左手が小坂町市街方面、右手が濁河温泉方面
道は県道441号・旧落合飛騨小坂停車場線(現濁河温泉線)、通称:御嶽パノラマライン、鈴蘭スカイライン
峠の標高は1,446m (峠にある看板より)
(上の画像をクリックすると別ウィンドウに拡大画像が表示されます)
ここを峠として認識する者はまず居ない
御嶽パノラマライン(鈴蘭スカイライン)沿いにある「大平(御嶽)展望台」と言えば知る人もある
道が急カーブしている箇所で、この写真の背後に御嶽山の展望が広がる
(御嶽山は写真にとっても、ここを峠としてこのアングルで写真に撮る者は少ないことだろう)
 
 

   

<掲載理由(余談)>
 前回の岳見峠(だけみ)に続いて越えた峠なので、ついでの掲載である。 上の写真を見ても分かる通り、あまりにも峠らしくない峠だ。ちょっと気が引けたが、まあこういう峠もあるということで、取り上げてみた。例によって、訪れたのはもう随分と昔のこと。 最初は1993年9月に小坂町(おさかちょう)市街方面から濁河峠(にごりご)へ、次は2001年5月に岳見峠に続いて小坂町市街へと越えている。 ここでは2001年5月に撮った写真を主に掲載している。

   

<所在>
 御嶽山(おんたけさん)北西麓に広がる岐阜県下呂市(げろし)小坂町(おさかちょう)落合(おちあい)の地に峠及び峠道の大よそが含まれる。下呂市の一部になる前の旧益田郡(ましたぐん)小坂町大字落合である。
 
<落合>
 落合は飛騨川(ひだがわ)の支流・小坂川(おさかがわ)の上流域に位置する。小坂川は御嶽山北斜面の6合目から7合目の間にある濁河温泉(にごりごおんせん、地理院地図)付近に源を発し、初めは濁河川(にごりごがわ)と呼ばれ、鈴蘭峠(地理院地図)方面から南流する小黒川(地理院地図)を合わせ(合流後は落合川とも呼ばれる)、更に大洞川(おおぼらがわ)が合流(地理院地図)してからは小坂川と呼ばれ、落合の地から抜けて行く。
 
 大字落合の地は古くは江戸期からの落合村になる。明治8年(1875年)、近隣合計11か村が合併して小坂村(おさかむら)が成立、落合はその大字となった。明治31には小坂村に町制が施行され、小坂町となっている。
 
<濁河の由来>
 尚、「濁河」(にごりご)という地名は、濁河川上流の川床各所から湧出する石膏を含んだ温泉が、川水を濁らすことに由来する。「濁河川」とは慣例的な名称で、正式には全て小坂川となるようだ。

   

<地形図(参考)>
国土地理院地形図 にリンクします。
   


(上の地図はマウスによる拡大・縮小、移動ができるようです)
   

<立地>
 濁河川最上流の濁河温泉から右岸沿いに車道が一筋通じている。川に沿って下るに従い、当然ながら道も下って行く。ところが、岳見峠への分岐点になる追分(地理院地図)を過ぎた辺りからはほとんど水平移動となり、その内明らかに登り始める。
 
 これは右岸に張り出したちょっとした支尾根を道が通過する時、僅かなアップダウンが発生したに過ぎないようだ。道の付け方次第では単調に下ってもおかしくない。
 
 同様な例は葛葉峠(くずばとうげ)に見られる。姫川沿いを国道148号が通じるが、尾根が張り出し姫川が鋭く屈曲した所を葛葉峠(地理院地図)で越えている。ただ、葛葉峠には九十九折もあり、それなりに峠道らしい。一方、この大平峠は道路地図を眺めただけでは全く峠とは思われない。地形図の等高線をしげしげと見ると、やっと峠の前後で上り下りがあることが分かる。

   

<大平峠>
 そんな訳で、大平峠という峠が本当に存在するのかと疑いたくもなる。私も最初、その存在を全く知らなかった。地形図や一般の道路地図で「大平峠」の記載はまずない。 ところが、ツーリングマップル(4 中部 1997年3月発行 昭文社)を購入してみると、それに登場していた。それで2001年5月に再び訪れた時、峠の写真を撮る気にもなったのだ。 大抵の地図では「大平展望台」または「大平御嶽展望台」と記されいている所が今回の大平峠に相当する。
 
<おおだいら>
 人の苗字などでは「大平」は「おおひら」と読むのが一般的だ。しかし、現地に立つ看板などからすると、この峠の「大平」は「おおだいら」と読むようだ。
 
 長野県にある大平峠(別名:木曽峠)も「おおだいら」であった。近くに大平(おおだいら)という名の集落がある。こちらの大平峠の近くにも大平山(1591m)があり、この付近の地名となるようだ。「大平」は地名としては「おおだいら」と読むことが多いようだ。
 
<水系>
 余談ながら、飛騨川は木曽川最大の支流で、よってその支流の小坂川(濁河川)の水域はすっぽりと木曽川水系である。

   
   
   

追分より峠へ

   

<追分>
 岳見峠を南に下って来て、県道441号・旧落合飛騨小坂停車場線(現濁河温泉線)に接続する地点が追分(地理院地図)である。 ここより県道を小坂町市街方向(西)に進む。道は濁河川右岸の上部に通じ、山腹の細かなうねりに従い道も屈曲を繰り返す。川下に向かっているのだが、追分以降の道はほとんど水平移動に近い。 濁河川の谷側に張り出す箇所に出ると、谷の向こうに雄大な御嶽山が望めるようになる。県道441号のこの付近の区間には「御嶽パノラマライン」という名が付けられているが、その名の通りである。

   
御嶽山を望む (撮影 2001. 5. 1)
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<補助的な峠>
 この濁河川沿いの道は、大局的に見れば濁河峠(地理院地図)から続く峠道と言える。その途中に補助的に大平峠がある格好だ。この点は、長峰峠の道に於ける九蔵峠との関係にちょっと似ている。九蔵峠からも御嶽山が望めることも偶然ながら類似している。

   
峠方向に県道441号を望む (撮影 2001. 5. 1)
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公衆トイレ (撮影 2001. 5. 1)
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<公衆トイレ>
 追分から2Km程進むと沿道に立派な公衆トイレが設置してある。広い駐車スペースも確保されている。道があまり良くないのに比べ、ちょっと場違いな気もする。
 
 この県道441号は飛騨川沿いの国道41号から濁河温泉へと至るルートの主要区間になる。高山市や下呂市方面からの温泉客や霊峰・御嶽山への登山客の車の通行がある。その便宜の為の公衆トイレなのだろう。
 
 ただ、私の場合は事情がちょっと違う。昨日は野宿で一夜を過ごした。有料キャンプ場などではなく、単なる川沿いの空き地である。当然ながらトイレはない。こういう公衆トイレは非常に有り難い。大きい方の用に使わせてもらう。

   

<案内図>
 トイレの敷地の一角に「山岳地道路案内図」という看板が立っていた。鈴蘭峠(地理院地図)直下に「鈴蘭口三叉路」(地理院地図)と書かれた分岐がある。公衆トイレから鈴蘭口三叉路までの間は13Kmとあった。追分からだと15Kmになる。ここがほぼ大平峠の区間と言える。鈴蘭口三叉路以降は鈴蘭峠との重複区間にでもなるだろうか。
 
 峠としては長峰峠、柳蘭峠、岳見峠、大平展望台(大平峠)、野麦峠、美女峠(一部)などが看板に記されているが、肝心な濁河峠(地理院地図)がない。案内図の胡桃島キャンプ場の近くに位置する。また、鈴蘭口三叉路から鈴蘭高原へと至る途中の鈴蘭峠の記載も抜けている。


公衆トイレに立つ案内図 (撮影 2001. 5. 1)
地図は下が北
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山岳地道路案内図」の一部 (撮影 2001. 5. 1)
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<緩やかな登り>
 公衆トイレを過ぎた辺りから、道は緩やかながらも大平峠に向かって登って行く。ただ、意識しないとほとんど気付かない。

   
大平峠方向を望む (撮影 2001. 5. 1)
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<御嶽山の眺め>
 相変わらず濁河川の大きな谷を隔てた向こうに御嶽山が望める。ただ、御嶽山との間に流れる支流の兵衛谷(ひようえだに)や椹谷(さわらだに)の分水界の尾根がやや視界を遮っている。

   
御嶽山の眺め (撮影 2001. 5. 1)
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<峠>
 大平峠は全く峠らしくないが、見過ごすことはない。県道が一段と濁河川の谷に張り出して急カーブする所に、御嶽山を望む展望台が設けられている。ここが大平峠でもある。御嶽山を一望する地に東屋が建ち、洒落た雰囲気の展望台だ。

   
大平峠 (撮影 2001. 5. 1)
実際は「大平(御嶽)展望台」として知られる
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林野庁の看板 (撮影 2001. 5. 1)

<林野庁の看板(余談)>
 展望台の一角に目立つ看板が立っているが、よく見ると林野庁のピーアールで、あまり面白くはない。

   

林野庁の看板の一部 (撮影 2001. 5. 1)

林野庁の看板の一部 (撮影 2001. 5. 1)
   

林野庁の看板の一部 (撮影 2001. 5. 1)

林野庁の看板の一部 (撮影 2001. 5. 1)
   

<おおだいら>
 もう一つ、旧小坂町(現下呂市小坂町)の案内看板が立っていて、こちらはちょっと役に立つ。「大平展望台」の文字にルビが振ってあり、やはりここは「おおだいら」と呼ぶことが分かった(下の写真)。
 
<標高>
 峠の標高はいつも気にする事項だが、この大平峠はあまり標高を問題にしてもしょうがない。それでも一応調べてみようと思ったら、小坂町の看板の説明文の中に、「現地点は1446m」と書かれていた。現在の地形図の等高線からしても正しそうな値である。尚、地理院地図の峠近くに「1452」との記載があるが(地理院地図)、これは谷に張り出した尾根上のピークの標高であろう。


小坂町の案内図 (撮影 2001. 5. 1)
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小坂町の案内図の一部 (撮影 2001. 5. 1)
「おおだいら」とある
   

<眺め>
 大平峠からは御嶽山頂上部はもとより、西方へと連なる裾野の山並みが望め、足下には大きな濁河川の谷(看板では「濁河谷」)が広がる(下の写真)。 眺めは抜群なのだが、峠の片側(側面)にこの様な眺めが広がること自身、ここがあまり峠らしくない点でもある。稜線の鞍部を越える典型的な峠なら、切通しになるのが本来だ。
 
 何故ここが峠として呼ばれるようになったかはちょっと疑問となるところだ。一つには霊峰・御嶽山への登山ルートに当たり、古くから多くの人々が利用したからかとも思う。 単に車で通過するのとは異なり、徒歩で移動する場合、ちょっとした上り下りのある峠は重要なチェックポイントになる。しかも、この地点は目指す御嶽山の眺めもいい。 そこでここを大平峠と呼び慣わし、休憩地点などの目安としたのではないだろうか。後に大平展望台と改められたが、名称としては大平峠の方が先にあったのではなかと思う。勝手な想像だが。

   
峠より濁河川下流方向を望む (撮影 2001. 5. 1)
御嶽山の裾野が延びる
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峠の小坂町市街方面

   

峠以降の道の様子 (撮影 2001. 5. 1)
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<御嶽登山道>
 大平峠から更に小坂町市街方面に向かう。御嶽山の眺めもさることながら、濁河川右岸の斜面に通じる道の様子も、なかなかスリリングでいい。急な崖にへばりつくように車道が切り開かれている。
 
 この小坂町市街方面から濁河温泉へと至る道筋は、小坂町落合を一合目とする御岳登山道として発展して来たようだ。 特に昭和8年(1933年)、旧国鉄高山本線の飛騨小坂駅が開設されると、観光登山としての利用が増加した。昭和34年(1959年)には濁河温泉まで登山バスが開通したそうだ。 旅館軒数も10軒を超え、濁河温泉は飛騨(岐阜県)側の登山基地として確立されていったのではないか。

   
峠以降の道の様子 (撮影 2001. 5. 1)
なかなか険しい
   

 当初は徒歩で通っていた御嶽登山道が、車道開通や登山バス運行などに伴い徐々に改修され、辿るコースもいろいろと変わって行ったと想像される。 しかし、現在の道路状況を見ると、まだまだ大きなバスが走れるような道でないことだけは確かだ。一度は開通した登山バスの運行も既にないようである。

   

沿道の途中、御嶽山方向を望む (撮影 1993. 9.12)
この時、ジムニーは大平峠方向に向いている
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<沿道の様子>
 大平峠以降も道の様子にほとんど変わりはない。それでも峠を過ぎた証拠に少しづつは下って行く。左手後方には相変わらず御嶽山の峰々が時折望める。
 
 
 左の写真はその眺めの一枚だ。アルバムには「鈴蘭スカイライン」(後述)とメモしてあった。ただ、どう見ても御嶽パノラマライン途中からの眺めである。

   
「国有林治山施工地(小坂)」と題した看板が立つ (撮影 1993. 9.12)
本来なら看板の向こうに御嶽山が望めるのだが、
生憎この日は霞んで見えなかった
   

<小黒川上流部へ>
 濁河川に沿ってほぼ西へと向かっていた道が、右岸の尾根を回り込むと、一転北の小黒川上流部へと向きを変える。距離的にはこのまま濁河川本流沿いに進み、乗越峠(地理院地図)を越えて御嶽山の1合目に位置する下島温泉(したじまおんせん、地理院地図)へと下る方が近い。そこを今の県道441号は小黒川上流部の鈴蘭峠直下の鈴蘭口三叉路へと大きく迂回している。どのような事情・経緯があったか分からないが、古くからの御嶽登山道からは大きくコースを変えたものと思う。

   

<ミソスリ林道分岐>
 道は険しい濁河川本流の大きな谷沿いを外れ、やや落ち着いた雰囲気となる。ただ、道幅は依然として狭く、対向車が来ると厄介だ。
 
 途中、左手にミソスリ林道が分岐する(地理院地図)。入口付近が広々とたアスファルト敷きになっていて、そこに枠線が引かれていた。登山バスの待避所にでも利用されていたのだろうか。
 
 県道441号からは乗越峠を越える五郎助林道など、幾つかの林道が分岐している。しかし、それらは営林署管理の作業林道になっていて、一般車は県道から外れることはできない。


ミソスリ林道分岐付近の様子 (撮影 2001. 5. 1)
左手が林道方向
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鈴蘭口三叉路

   

<鈴蘭峠分岐>
 県道は鈴蘭峠直下で丁字路に突き当たる。看板などでは「鈴蘭口三叉路」と記されている。そこを右に行けば鈴蘭峠を越えて高山市朝日町(あさひちょう)西洞(にしぼら)の鈴蘭高原に通じる。分岐から鈴蘭峠まで1Kmもない。

   

丁字を示す道路標識 (撮影 2001. 5. 1)

丁字路直前 (撮影 2001. 5. 1)
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<分岐の様子>
 濁河温泉(大平峠)方面に向けていろいろ看板が並ぶ。大型車通行不能とあったが、高山市高根町方面から濁河温泉に通じる県道435号のことだったらしい。その後その道は大きく改修され、今は立派な県道が通じている。

   

丁字路を背に大平峠方向に見る (撮影 2001. 5. 1)
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大型車通行不能の看板 (撮影 2001. 5. 1)
但し、21Km先の県道435号の話らしい
   

濁河温泉関係の案内看板 (撮影 2001. 5. 1)
「これより御嶽パノラマライン」ともある

丁字路より大平峠方向に見る (撮影 2001. 5. 1)
寂しい道だ
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 やはり濁河温泉の案内看板が目立つが、県道441号の通行注意の看板も多い。落石や積雪・凍結に関する注意を呼び掛けていた。

   
県道441号を大平峠方向に見る (撮影 2001. 5. 1)
通行注意の看板が並ぶ
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<鈴蘭口三叉路以降>
 鈴蘭峠分岐以降の県道441号は、見違えるように立派になる。この後、ほぼセンターラインは消えることなく小坂町市街へと至る。これで仮に大型バスがやって来ても離合は容易であろう。


丁字路より小坂町市街方向に見る (撮影 2001. 5. 1)
左に分かれるのが大平峠方面の県道441号
手前は鈴蘭峠を越えて鈴蘭高原へ
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小坂町市街方向の看板類 (撮影 2001. 5. 1)
「名古屋、下呂、小坂 方面」とある
ここはゲート箇所にもなっていた
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鈴蘭峠方向の道 (撮影 2001. 5. 1)
快適な2車線路が延びる
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<鈴蘭高原への道>
 また、鈴蘭高原へと直進する道も同様に快適だ。その点、濁河温泉へと分かれる道は、如何にも寂しげである。小坂町市街と鈴蘭高原とを結ぶ路線の方が本線で、本来の御嶽登山道は脇道に見えてくる。
 
 ところで、長野県側からの御嶽山への登山ルートは、途中の車道がよく整備され、終点より更にロープウェイが延びていて、御嶽山登山はより容易になっている。こちらの岐阜県側は離合も難しい道をマイカーで延々と走らなければならない。やや分が悪いのは否めない。
 
 どうやら道の様子からして、岐阜県側は御嶽山登山より、鈴蘭高原観光の方に人気があるのかもしれない。

   
鈴蘭峠方向の看板類 (撮影 2001. 5. 1)
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<周辺案内図>
 鈴蘭峠への登り口に「周辺案内図」が立っている。同じ様な看板は追分にもあった。主要な地点間の距離が記載されている。現在地(鈴蘭口三叉路)から大平峠(展望台)を経由して追分までが15Kmとなっている。濁河温泉までは合計で23Km。この区間が特に狭い。


周辺案内図 (撮影 2001. 5. 1)
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<鈴蘭口三叉路以降>
 鈴蘭口三叉路を過ぎると、そこはもう大平峠だけの道でなく、鈴蘭峠の道とも言える。また大きくは濁河峠の道でもあるかもしれない。
 
<鈴蘭スカイライン>
 鈴蘭口三叉路から小坂町市街方向に向かう県道441号には、道路地図に「鈴蘭スカイライン」と記されていることが多い。ツーリングマップ(ル)では御嶽パノラマラインという名は出て来ないが、この鈴鹿スカイラインの記載はある。
 
 ただ、「スカイライン」と銘打ちながら、道は小黒川の上流・栃原谷の谷底を縫って下る。空との境になる山の稜線近くを行くような道ではない。眺めもほとんどなく、あまり面白い区間とは言えない。
 
 これはどうやら御嶽パノラマラインの区間も含めて鈴蘭スカイラインと呼ぶのかもしれない。 御嶽パノラマラインなら下呂市(小坂町)と高山市(朝日町)との市境になる稜線近くを通るので、「スカイライン」と呼ばれるのも納得できる。 県道に昇格する前から「鈴鹿スカイライン」の名称はあったので、やはり現在の県道441号のほぼ全線をそう呼んでいたのではないか。その後、鈴蘭高原が開発されて「鈴蘭」の名がやや誤解されやすくなり、別途「御嶽パノラマライン」の呼称を設けたような気がする。

   

道の駅・南飛騨小坂 (撮影 2001. 5. 1)
小坂町市街方向に見る
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<県道437号に道隆>
 この後は小坂町市街まで快適な道が続き、この飛騨地方の幹線路の一つである国道41号に出るまでもう少しだ。途中、県道437号・湯谷温泉線に接続するが、飛騨小坂駅近くまでは県道441号との重複(ちょうふく)区間になるのだろう。
 
<道の駅・南飛騨小坂>
 小坂川沿いに県道437号を下ると、途中に道の駅・南飛騨小坂がある(左の写真)。ここも今は御嶽登山客より、鈴蘭高原などへの観光客の利用の方が多いのではないだろうか。

   
   
   

<余談>
 このところ御嶽山北西麓に位置する峠を3つ挙げた。他にも幾つかあり、中でも濁河峠は最も標高が高い峠だ。ところが肝心な峠の写真をこれまで一枚も撮って置かなかった。 鈴蘭峠についても同様だった。どちらも峠としてあまり印象深くなかったからだが、今になってこのホームページ「峠と旅」に掲載できないことを後悔している。 今後、体力的にもう二度とこれらの峠を訪れることができないだろうと思う、大平峠であった。

   
   
   

<走行日>
・1993. 9.12 鈴蘭高原→大平峠→濁河峠/ジムニーにて
・2001. 5. 1 岳見峠→追分→大平峠→小坂町市街/ジムニーにて
 
<参考資料>
・角川日本地名大辞典 21 岐阜県 昭和55年 9月20日発行 角川書店
・角川日本地名大辞典のオンライン版(JLogos)
・中部 2輪車 ツーリングマップ 1988年5月発行 昭文社
・ツーリングマップル 4 中部 1997年3月発行 昭文社
・ツーリングマップル 4 中部北陸 2003年4月3版 1刷発行 昭文社
・県別マップル道路地図 21 岐阜県 2001年 1月発行 昭文社
・その他、一般の道路地図など
 (本サイト作成に当たって参考にしている資料全般については、こちらを参照 ⇒  資料

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