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宝蔵峠 |
宝蔵(ほうぞう)峠は高知県安芸市の奥の方にある。土佐湾に面した安芸市街から安芸川沿いを北に溯る。途中張川沿いの張川林道に分岐し更に北上する。川を詰めてから宝蔵峠で山を越えて東側の伊尾木川の谷に下りる。そして伊尾木川沿いを延々と南下し再び安芸市街に戻る。 どちらの側から行くにしろ、同じ安芸市内の川の上流まで行って戻ってくる、かなり虚しい峠旅である。 |
なるべく虚しくならない様にとコースを考えた。香我美町の山奥、舞川より弓木隧道で安芸市に入り、安芸川の源流畑山川の上流より下ることにする。張川林道の分岐まで来て問題が起こった。林道入口から道路工事が始まっており、100m程入った所で工事車輌が道を塞いでいた。入口には通行止とは出ていなかったが通してもらえるのだろうか。すぐ脇で工事作業をしているおばちゃんに尋ねると「おーい車が来たよー」と工事車輌の方に声を掛けてくれた。トラック1台とユンボ1台がわざわざ作業を中断して林道入口まで待避してくれる。こちらは別に何の用もなく、単なる遊びで通るだけなので申し訳ない。 |
張川林道は工事中とはいえ、今現在はまだ100%未舗装である。張川に沿って整備された走り易いダートが続く。本来なら喜ぶべきところなのだが、もったいない事に飽きてしまうのだ。川沿いの為、上りも下りもしない単調さが続く。川の蛇行に合わせて道もくねくね曲がるが、谷間の景色は一向に変わらない。飛ばさないのでやたらと時間が掛かる。仕方がない、丁度昼時なので道脇の空き地で食事を取ることにする。レトルトだがカレーライスとスープの昼食をゆっくり味わい、気を取り直してまた走り出す。 張川の上流を突き詰めた所で橋で左岸に渡る。ここからいよいよ本格的な上りが始まる。 |
急なヘアピン |
険しい崖沿いの道 |
道は荒れた。高度を上げるに従って谷間の景色が広がる。きつい上りに急なヘアピン。断崖絶壁にガードレールは皆無。景色を楽しみたいのだが、あまりよそ見などしていられない。 峠道はやはりこうでなければいけない。適度な緊張感があり、それでいて周りは素晴らしい山また山のロケーション。退屈などする暇はない。谷を回り込むたびに山肌に沿った新しい道筋が現われ、新しい展望がダイナミックに広がる。 |
かなり上った所で道は左折する。直進は仙谷林道で行止りと思われる。そこからますます路面は荒れた。 しかし分岐より1Km足らずで峠に出た。峠手前、左に張川林道52支線林道が分岐する。その先は杉ノ谷治山工事現場で行止りと思われる。轍はその支線へ行く方が多い。峠に居る間も一台の工事車輌がそこから現われ、伊尾木川の方へ下って行った。 |
左に52支線分岐 右が峠 |
峠にある「宝蔵峠」の看板 |
峠には木で出来た「宝蔵峠」の看板がある。この様な林道の峠にある看板としては立派な物だ。峠越えを旅の目的の一つにしている者にとって、峠名が記してあるのは嬉しい。観光地化された様な峠にある看板では有り難味がないが、こんな一般者が来ない峠にある看板は大歓迎である。 看板には「昭和46年3月31日開通」とあった。 |
峠からは張川側、伊尾木川側とも展望がある。特に伊尾木川が流れる谷が見下ろせ、土佐湾の方に向けて山が幾重にも連なっている。それは眺めるだけならよいのだが、これからその谷間を延々と走らなければならないのだ。 峠を下る。大型の工事車輌も通れる様に道幅は広く、しっかり踏み締められた路面は非常に走り易い。あまり展望もないのでよそ見をすることもなく、どんどん先に進む。 |
峠より伊尾木川方面を望む |
伊尾木川沿いの道に出る 左折が宝蔵峠、直進は駒背峠 |
下り終わると橋を渡って伊尾木川沿いの舗装路に出る。そこには赤錆びた林道標識が立っている。辛うじて「張川林道」の文字だけが読める。また「一般車通行止」の古い看板も目に付いた。張川側には何もなかったので、まあいいことにする。 |
しかし川沿いを上り詰めるだけ上り詰め、最後の集落を過ぎ、橋を渡り、いよいよ急登と思った所で通行止の看板が立っていた。道路改修工事とある。しかしここまで来て通行止はちょっとひどい。強硬に進もうかと暫く考えていると、工事の大型トラックが道幅いっぱいに下りて来た。慌ててバックし待避所でやり過ごす。こんなのと時々行き違うのかと思うとうんざりした。また相手に迷惑もかける。諦めて引き返すこととした。 |
峠道状況(1997年9月)
張川林道は全線未舗装で荒れた部分もあり、4WDはほぼ必至。張川側の上りは崖が多く、慎重な運転が必要。たまに大きな工事車輌や木材運搬トラックが通るので注意。
また張川沿いは工事中で場合によって通行止になるかもしれない(不確定要素)。
尚、駒背峠への道の通行止標識には「市道古井別役線、安芸市別役、四輪車以上、平成9月8日8時〜11月30日17時、道路改修工事の為」とある。