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 三国峠
 
みくにとうげ
  
  埼玉と長野を結ぶ唯一の車道
 
 
 新しいページもあります → 三国峠(再掲)
 
  
  
  
三国峠
三国峠
 埼玉県大滝村と長野県川上村を結ぶ三国峠は狭い切り通しの峠である。このか細い林道の峠道が両県を繋ぐ唯一の車道なのだ。
 
 峠は埼玉、長野、群馬の三県に跨る三国山の南側、1740mを越えている。三国とは武蔵野、信濃、上野(こうずけ)である。古くは現在の峠より更に南側に歩いて越える三国峠があったそうだ。
 
 多くの例があるように、今のこの車道の峠に付けられた名は、歩く峠に対して新三国峠とすべきところなのだ。新三国峠が出来て、旧三国峠は使われなくなってしまった。そして三国峠というとこの車道の峠を差すこととなり、元の峠の存在は忘れ去られていく。 
 
 埼玉県と長野県の境界の長さは10Km前後と短く、また山深いこともあり、車が通れる道はこれ一本だ。
 
 世の中には県の境を接していながら車が通れる道が一本もないところが二個所ある。一つは三国峠のすぐお隣の埼玉と山梨の県境である。しかしここは現在雁坂トンネルによって越える立派な道(国道140号)の工事が着々と進んでいる。もう一つは福島と群馬の県境で、あの尾瀬ヶ原や尾瀬沼があるところだ。一時林道開発か自然保護かで議論を呼んだことがあると記憶している。ここに通り抜けられる車道が作られることはまだないだろう。
 
 雁坂トンネルが開通すれば、福島と群馬の境が車で越えられない唯一の県境となり、そして県境を越える唯一の車道の中で三国峠の道は最も険しい道ということになる。
 
  
  
お詫びと訂正 1998年3月1日
 
 雁坂峠を除き、車で越えられない県境が福島と群馬の境以外にもう一つありました。長野と富山の境で、そこには黒部立山アルペンルートがありますが、県境は電気で走る関西電力のトロリーバスが走っているだけで、一般車はトロリーバスが発着する長野県側の扇沢までしか行かれませんでした。ここにお詫びして訂正いたします。
 
トロリーバス
トロリーバス 黒部ダム駅
 
 尚、車が通れる道が一本しかない県境は三国峠ともうすぐ通れる雁坂峠以外には、白山スーパー林道が通る岐阜県と石川県の境があります。ここは冬期閉鎖が長く、しかも舗装の有料道路で観光地化されている点が否めません。

白山スーパー林道
石川県と岐阜県を繋ぐ白山スーパー林道
県境近くの岐阜県側の三方岩駐車場からの眺め

 
 以上はknosさんよりメールでお知らせ頂いたことにより訂正させて頂きました。

 ところで気をもませる国道140号の雁掛トンネルですが、地図などに「平成9年完成予定」などと載っているものだから、これまでに何度か無駄足していました。それが今年に入ってNHKのテレビで埼玉−山梨が不通だった国道140号が開通するというニュースをやっているのを偶然見ました。貫通した雁坂トンネルはその長さが日本屈指だとか報じていました。しかしまだ一般車の通行は許可してないみたいで、われわれ一般庶民が通れるのは5月のゴールデンウィーク頃とのことです。

 
  
   
長野県側
峠より長野県側を望む
 
 長野県側からは国道141号を別れて東に県道68号梓山海ノ口線で川上村の中を進む。途中右に信州峠への道やあの大弛峠への道を分ける。山梨県から大弛峠を越え、更にこの三国峠へと峠のはしごをすることもある。
 
 県道の終点梓山では直進路は行き止まりの道で、初めて来る者は戸惑ってしまう。峠へはそこを左に曲がり最後の民家を過ぎて川沿いに進む道をとる。しばし平地に畑が開けているが間もなく山道に取り付く。まだ舗装路のままなのだが、道の雰囲気が非常によい。車道であっても道が周りの自然に溶け合っている。道の両端に側溝は無く、アスファルトの端は徐々に草木に覆われ周りの自然へと繋がっている。左右には低木が適度に迫り、木漏れ日に明るく穏やかで、気持ちが和む道である。ガードレールの代わりに木々に守られているようだ。本当はこのような所は車ではなく、歩いて行く方がいいのであろう。せめて窓をいっぱいに開けて風を入れ、山歩きでもしている気分でゆっくりと走る。
 
 それでもそのうち道は徐々に険しい様相を呈してくる。谷が深くなり、気を抜いてはいられない。ただ峠までは舗装が続き、それ程距離もなく峠に着いてしまう。
   
  
   
埼玉県側
峠より埼玉県側を望む
  
 峠の切り通しの前後はそれぞれ長野県、埼玉県の眺めが広がる。この先の埼玉側の本格的な林道走行に備えてゆっくり休む。
  
 埼玉県側は中津川林道と呼ばれ、林道走行を目的にしたオートバイがよくやってくる。車で走行する場合は、対向のバイクに気を付ける。後ろから追い着いてきたのは止まって先に行かせよう。 
 
 峠を少し下った所に水場がある。折角だから喉を潤していく。焦らずのんびり楽しむ林道走行もあるのだから。 
 
 険しい山岳道路の雰囲気を味わった後は中津川の渓流沿いの道となる。何箇所か河原に下りて行ける場所もある。車を止めて裸足になり、ブレーキやクラッチに踏み疲れた足を冷たい水に浸けると気持ちが良い。 
埼玉側の道
埼玉県側の下り
 
 舗装路が始まると狭くなったり広くなったりを繰り返す。2車線のスピードが出る道になったと思うと、次の瞬間車1台分の狭いカーブが待っていたりする。事故に気を付ける。途中左に八丁峠を越えて埼玉から群馬に抜ける国道299号の志賀坂トンネルの入口に出る道を分ける。
 
 以前は更に先、国道140号に出るまで狭い道で苦痛を味わうこととなった。遊仙橋で中津川の左岸に渡った後の道がやたらに狭いのである。車が行き違うには双方のどちらかが、ところどころにある待避場で待たなければ、絶対に離合出来ない。よく先を読んでいないと車を何度もバックさせる羽目になる。そこにもってきてシーズンには中津川渓谷への行楽客が押し寄せ、思わぬ渋滞を引き起こす場合もあった。呆れたバイクはさっさと引き返していったが、車の場合は一旦はまったら最後、引き返す訳にはいかない。
 
 今はそのまま中津川の右岸の高所を2車線の快適な道路が国道まで繋がっている。しかしその新道を走りながら以前苦しんだ左岸の細い道を横目で見下ろしていると、何故か寂しい気がしてくるのは私だけだろうか。
   
  
   
 峠道状況(1997年12月)

 12月5日から4月下旬までは冬季閉鎖になっています。
 また八丁峠(全面舗装)は17時から翌朝まで通行止めしています。

(メールで頂いた情報です。ありがとうございました。)

 
  
   
 
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