サラリーマン野宿旅
野宿の災難
 初掲載 2000. 1.13

 やっと見つけた野宿地。テントをしつらえ、夕食の支度。今日も日がな一日ずっと車を運転して旅を続けてきた。その緊張が徐々にほぐれてくる。食事が済めば、焚き火の明かりを眺めながら、ゆっくりココアなどすする。今日訪れた峠のことなど思い起こす。背中がゾクゾクするほど冷え込んできたらテントに入り、ローソクの明かりを頼りに地図で明日の旅の計画などする。それも飽きて心地よい旅の疲れを感じたら、シュラフに深くもぐり込んで眠りにつく。そしてそのまま朝が明けるまで、静かで健やかな野宿の夜が過ぎてくれればいいのだが、そうは問屋が卸さないのである。長年野宿をやっていると、深夜に天候が急変し、ひどい目に遭わされることがままあるのだ。

 夜中に襲ってくる大雨や突風。薄っぺらな生地でできたテントなどでは、到底太刀打ちできない自然の脅威である。しかも真夜中とあっては、野宿地周辺にはひとかけらの明かりもない真の闇。その闇の中で右往左往する羽目になる。
 逆にその闇を雷は明々と照らし出す。雷鳴は地響きを起し、体が震えるほどだ。テントの中で目を閉じていても、その閃光はテント地の色に輝く。ただただじっと雷雲が通り過ぎるまで我慢するしかない。

 そうした野宿の夜に、悪天候に遭遇した時の話です。


目次

 雨の巻:テントの中は水びたし。<初掲載 2000. 1.13>

 風の巻:振り向くと、そこにテントはもうなかった。<初掲載 2000. 2.24>

 雷の巻:この恐怖は言いようがない。<初掲載 2000. 9.11>


 最近はあまり野宿で悪天候に見舞われる事は少なくなった。
 野宿経験を積んだことで、災難を避けられる様になった・・・、と言いたいところだが、襲ってくる悪天候は如何ともし難く、何をどうやったって薄っぺらなテント一枚では、太刀打ちできる訳がないのだ。天気予報を注意深く聞いて、天候が悪くならない地域を選んで旅をするという手はあるが、たかだか車の移動能力程度では、必ずしも雨雲から逃げおおせるとは限らない。それに天気を気にしながら行き先を決めていては、旅がつまらなくなる。
 結局、今夜はヤバそうだなと思うと、あっさり野宿はあきらめ、旅館やホテルに泊まってしまうのが最近の常である。軟弱になったと言うなら言え。やっぱり寄る年波には勝てないのだ。


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